前の話
一覧へ
次の話

第8話

お仕置き
892
2020/02/17 10:24
「ここじゃ声響くしどうする?トイレで?それか早退して俺ん家くる?」

問われたのは3つのこと。
あぁ、俺犯されちゃう。でも自分が興奮してきてるがわかる。
なんでこんなに変態になってるの?

ここでされたらもちろんなんだけど、トイレでされても声が響いちゃうリスクは高いもんなぁ…

「……家…行きたい」
「ん、了解」

するとスタスタヒョンウォナは走っていった。

え、俺このまま?!

焦る気持ちをどうにかする前に、丸出しになっているお尻を一旦パンツとズボンを上げて隠した。

すると、間もなくヒョンウォナは帰って来た。

「え、なに、してたの、?」
「いや、先生にお前と俺が早退する事伝えてきたんだよ。トイレ行ったらミニョクくんがゲロ吐いてたんで帰らせます、ついでに俺も気持ち悪いんで帰りますねーつって」
「そうなんだ、」

なにこいつ天才なの?

「はい。カバン持ってきたからさっさと帰る」
「あっ、ありがと」
「んでお前のがコミュ障なんだよw」

今、初めて笑った?笑った顔めちゃくちゃ優しい……。

「そうだね、!なんか変な感じするけど、」
「男とヤるの初めて?そりゃ緊張するよな」

"早く降りるよ"って言われて、ふたりでかいだんを降りて、校門に向かった。

「え、ねぇ、門開くの?」
「ん?俺遅刻してきたし開くんじゃねっ、ほらっ、開いた」
「おー!ありがとう!」
「ちょっとは惚れてもいいよ」
「う、うるさいなぁ!」
「かわい」

意外と優しいとこもあって、面白いとこもあって、今の俺に映るメガネくんは紛れもなくイケメン・ヒョンウォン。

にしてもどう考えてもこれから犯されに行くようには見えないよな。

どんな家に住んでるんだろ…。

あの日と比べると沢山の他愛も無い話を広げながら家に向かう。

「はい、此処な俺の家」

目の前に建っていたのはただのアパート。

「…一人暮らし?」
「おん、他の家族皆光州で暮らしてる。たまにあってるから安心しな」

カツ、カツ、と2人して足音を鳴らしながら階段を上る。
すると511号室が見えた所でヒョンウォナの足が止まった。

「ここ?」
「おん」
「へー!家賃なんぼなのー?」
「なんちゅうこと聞いてんだよwあ、悪ぃ鍵開けるわ」

"5万とかだよ"なんて言いながらガチャガチャと鍵を開けた。

「バイトしてんの?」
「まぁな。はい、お納めくだされマイハウス」

カチッ
やっとの事で玄関のドアが開けられて中に入ると、電気が付けられた。
1LDKで、玄関のすぐ奥にはベッドが置かれてあった。
部屋はぐちゃぐちゃ過ぎないし、キレイすぎる訳でもない。ほんとに普通に生活してる感じ。

「普通だね!」
「お前ん家かぁちゃん居るかもしんねぇけど、居なくなったらぐっちゃぐちゃになるだろ」
「綺麗なままで居ますー!」
「嘘つけ」

2人きり。恋人の家。俺の体は状況に惑わされた。

「……キス、したい」
「いいよ」

玄関に入って、1番初めに目に入ったベッドに押し倒された。
もう何の心配もないから、深い深いキスを全身に浴びる。
声が漏れそうになるのもさほど気にしなくても済む世界。
俺は幸福感に満たされた。

もう三度目のキスだけど、違うのは学ランを脱がされている事。

「寒くない?」
「だいじょぶ…」

熱い眼差しが交わされた。
ヒョンウォナの骨張った手が俺の学ランを脱がして、肌に触れる。するときもちよくて声が漏れる。

「かわいいね」

そう言われて、最初はキモいし意味がわからなかったけど、今は嬉しい。

「勃ってきた?」
「聞かないでっ…」
「勃ってんだ」

恥ずかしくて天井に目をやっていると、今度はズボン、パンツの順に脱がされ、俺が露になった。

「やぁ…」
「顔赤っ電気付けて正解だわ」
「うっさい、」

顔から火が出そうだよホント。

ヒョンウォナの骨張った手は、ソレを愛撫する。
恥ずかしくって何も見たくなくなり、腕で自分の目を隠した。

「っ、ふぅ…ふぅ…」
「苦しい?」
「ん、ちゅう、」
「お前キス大好きだよな」

恥ずかしさを紛らわす為にキスをしてくれる。
すると、上でも下でもきもちよくて、一気に限界の波が押し寄せた。

「んぅっ、!」
「んっ、はぁ、イキそ?」
「ん、、っあ、はぁ、はぁ、」

限界の波に負けて声が出てしまって、唇を離された隙にイってしまった。
たらたらと流れている白いのがいやらしい。

「えっろ」
「ヒョンウォナのせい、!」
「はっwあーなんか興奮してきたわ」
「は、はぁ?」

ヒョンウォナはなぜか呆れながらそう言うと、俺を抱き抱えて座らせた。

目と目が合ってる。

「え、え、何」
「ズボンとパンツ最後まで脱いで」
「えなんで?」
「セックス中もうるせぇな、俺見てるから脱ぎな?」

"見てるから"とはいえ本当にマジマジと見られながら脱ぐので、脱がされたも同然だった。

「み、見すぎでしょ」
「かわいい」

ホンモノの変態はヒョンウォナだった。

「よく出来ました」
「う、うん、」
「じゃあ俺の脱がして?下のやつ全部」

下のやつ全部って…とんでもないでしょ!

「どうゆうつもりなの?!」
「こうゆうつもり」
「おもしろくない!」
「かたつむりwww」
「バカ!じゃあもう立って!」

もう何言っても無理そうだからこっちから脱がしてやる!

ベルトをわざとらしくカチャカチャ鳴らせながら外して、強引に膝下まで一気にずり落とした。
すると同時にパンツも下ろしてしまい…

「あ」
「きゃっ…」
「女子か」
「ご、ごめん!いや、同時に下りると思わないじゃん!」
「俺のせい?」
「ち、違います…」
「だよな」
「……なんです?」
「舐めろ」
「いやだよ、」
「お前だけイってるじゃん」

図星を突かれて舐めさされるはめに。

「そうそうっ」
「ほんははんひ?(こんな感じ?)」
「んっ、そこで喋んなっ、でも上目遣いかわいいなっ」

しばらく舐めているとだんだんヒョンウォナをイかせてあげたくなった。

「あっ、おまっ、調子、乗っんな、あっ、っ」

ぶるっと一瞬、ヒョンウォナが震えると、口の中には苦味が広がった。

女の人ってこんな思いしてたんだ。

味は正直不味いけど、なんだか気分がスカッとした。

「はぁ、はぁ、もうそれ飲んでいいよ」

苦味が喉に広がった。

ふと俺は、あることに気付いた。

「ヒョンウォナ、メガネ外してよ」
「なんで?」
「目、かっこよかったもん」
「…いい、けど…はい」
「…やっぱり、こっちの方がいい」
「そうか?じゃあ俺今日はこれで居るわ」

ビンゴオオオオオオオ!

やっぱりヒョンウォナはメガネない方がいい!
ってこれ俺セックスしてるんだよね?

「なぁ、後ろ向いて」
「う、うん」
「そのまんま四つん這いになって」
「…はい」
「怖い?」
「ちょっと…」
「まぁそらそうだわな、深呼吸しろ」

だいたいの流れで、俺が今から何をされるのかを掴み取ったら、やっぱり体が強ばった。
ヒョンウォナはそんな所にも気を配ってくれた。

「ふぅ〜…はぁ〜…ふぅ、んああ!」
「ごめん、冷たいよな」

言われた通り深呼吸してると、俺の孔穴に冷たい何かが触れた。
その感触は、さっきのバイブの時と同じだから、多分ローションを掛けて指で慣らしてくれてるんだろう。

「慣れる、かな、」
「心配すんな」
「う、うん、ありがと、」
「少しづつ入れるから、指」

1本。

「ん、ふぅ、」
「いいよ今更。声出して」
「い、や、っんっ、んぅっ」
「この後もっと激しくなんのにそんなんで耐えてたら爆発すんだろ」
「うるっさ、いよっ、っあん」
「だいぶ柔らかくなってきたね」

2本。

「あっ、あっ、んあっ」
「ちょっと気持ちくなってきた?」
「ま、まぁ、ふつうっ、」
「強がんなって」
「はあっあっ、やめっ、っああっ」
「ごめん調子乗ったわ」
「はぁ、あっ、んぅ、」
「まぁでも柔らかくなってきた、よく頑張りました」

2本の指が入るようになった時、俺の頭にヒョンウォナの手が"ポンポン"と触れた。

なんか心臓が変な感じ。

「じゃあ本番。痛かったら言って、そんでからそこにあるクッションぎゅーってやっていいから」

今から俺たちは、繋がる。
ドキドキする。これは、なんのドキドキなんだろう。

「っ、はぁ、入ったから動いていくよ」
「はぁ、っ」

何が起こるか分かんなくて、思わずクッションをぎゅーってした。

「痛くない?」
「うん、大丈夫っ、んっく、あっ」
「すぐにヨくなるから心配すんな」

そう言って、頭にキスをしてきた。
ゆっくり、ゆっくり、俺が痛くならない程度に動いてくれてる。
なんでだろう。涙が出そうになった。
めっちゃ優しいじゃん…。

「手、にぎって、っ、」
「ええ?いいよ」
「はぁ、はぁっ、あったかい、」
「繋がってるな、俺たち、はは」
「ん、あっあっ、はやっ、よ」
「も、う手ぇ握ってる、から大、丈夫だろ」
「んぅ、あっ、んああっ、あっ、はあっ、きも、ちいっ、」
「イキ、そうになったら、言え」
「あっああっ、イキそう、かもっ」

バイブの時にキそうになった"限界"を感じて、言われた通りに報告したら、突然四つん這いを崩されて、仰向けにさせられた。
すると今までに見たことが無い余裕が無さそうなヒョンウォナの顔があった。

「ヒョ、ウォナ、?」
「キス、しよ」
「、んああっ、、ごめっ、」
「いいよ、声出してっ、ほら、キス」
「う、うん、」

ヒョンウォナからキスをしてきたのはあの日以来。
あの日のキスが俺たちを繋げた。

あの日のキスで今、あなたを好きになれた。

「っはっ、やばい、イクわっ、んっ、っ」
「はぁ、はぁ、はぁ、キて、っああん、あっ、」

2人で頂点にたった気分だった。
きもちくて、何よりも幸せを感じた瞬間に現れたのは
壮絶な切なさだった。

ヒョンウォナは俺を玩具としてしか見ていない。
ただ顔が可愛いやつとしてしか。
俺も元々そうだった。
キスをきもちよくできる奴だとか、俺の成績の手伝いをしてくれた奴だって。
でも、なんか、バカバカしいや。
俺だけ本気みたいな。俺だけ勝手に追いかけてるみたいな。

「はぁ、はぁ、大丈夫だ…………おい、どうした?」

そう声を掛けられた頃には、俺の顔の近くにあったクッションはびちょびちょになっていた。

「っ、ヒョンウォナはさっ、俺の事っ、可愛いだけだと思ってるもんっ、」
「…は?」
「俺の事っ、本気なんかじゃないでしょっ、顔だけ可愛くてっ、うるっ、さいクソガキだと、思ってるよねっ、」
「ん」
「俺はっ、キスがうまいだけっ、ただの陰キャっ、だって、そう思い切れなかったっ、そうっ、思ってたのにっ、なんかっ、ヒョンウォナって、優しくてっ、面白くてっ、なんなのっ、」
「ん」
「今のは愛のあるセックスじゃないもんっ、愛のあるセックスしたいよっ」
「ん」

なんでヒョンウォナはこういう時に"ん"の一言しか言わないの?

「なんっでそれなの、っ!!!!!」

俺はその近くのクッションをヒョンウォナに投げ付けた。
完全な八つ当たりだよね。分かってる。

「いってぇ!いや、あのさぁ、俺お前にいつ愛のないセックスしまーすなんて言った?」
「…は、はぁ?」
「何泣いてんのかわかんないけど、俺愛情込めっ込めでお前を抱きましたけど」
「じゃ、じゃあなんで好きとか無かったの。」
「それは、あれ、だよ、ほら、俺も人間だし、恥ずいんだわ」

予想外。

「、」
「…だから、好きだから。」
「えっ」
「だからもう、泣くなよ、意味わかんねぇしさ。俺だって元々はお前の事抱きたいだけだったし、顔が好きなだけだったけど、こんなクソ陰キャに対して、話し掛けてくれたし、もっとクズだと思ってたけど案外喋ってみれば良い奴だったし…まぁアホなのは想像と全く変わんねぇなとは思ったけど」
「飾らない姿でいいじゃん!でも、ヒョンウォナ俺も、好きだよ。キスよりもヒョンウォナの方が、好きだよ!」
「お、おう!サンキューな!」

ヒョンウォナは照れたように変な返事をした。

「明日ここから学校一緒に行きたい!」
「いいけど」
「やった!」
「朝飯お前が作れよ」
「え!なんで?」
「お前が奥さんだろ」
「はぁ?!」
「って事で俺は課題はやってやるから早速晩飯作れ」

時計を見るともうこんな時間。そして俺たちは…

「え待ってよ!裸じゃん…」
「え、知んなかったの?アホだwww」
「し、知ってたよ!ちゃんと!」

裸のままだった。急いで着替えて、料理…なんてした事ないけど、ヒョンウォナの為ならなんか作れそうだな〜。

「食器用洗剤はそれ、スポンジこれ、食器棚そこ、冷蔵庫はテキトーに漁ってくれておっけーだから」
「んーわかったー。」
「頑張ってねー」
「っ、!」

言われたものを自分の目で確認していると、突然キスをされた。

「かわいい」

あの日のキスはヒョンウォナが連れてきた幸せだった。





-ふぇてぃしずむ-

プリ小説オーディオドラマ