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第5話

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2019/06/02 03:20
中島 敦
中島 敦
あのぉ......あなたは?
虎が恐る恐る聞く。

こいつは、中島なかじま あつし

虎になる異能力を持ち、ポートマフィアも、こいつの首を狙っている。
五十嵐 李都
五十嵐 李都
少し、道をお聞きしたいのですが
そう言って、李都は二人に近づいていった。
敦と国木田が、李都が持っている紙を覗きこんだ。

その瞬間、李都はポケットナイフを国木田に刺した。









にやっと李都は小さく嗤った。










国木田 独歩
国木田 独歩
お前......ポートマフィアだな
五十嵐 李都
五十嵐 李都
さすがは武装探偵社
そう簡単には殺せないか
国木田は、ナイフを避けている。

咄嗟に敦も引っ張って、攻撃を交わしたのだ。

李都は、ついでに敦も刺そうとしていたから、どちらも失敗したということになる。
国木田 独歩
国木田 独歩
目的は敦か
五十嵐 李都
五十嵐 李都
いいや、違うね
中島 敦
中島 敦
えっ......?
李都は、余裕の笑みで国木田に近づいた。

目の前まで来て、耳元でこう言う。
五十嵐 李都
五十嵐 李都
国木田独歩、お前だ
国木田 独歩
国木田 独歩
ほう......
依頼者は誰だ
五十嵐 李都
五十嵐 李都
そんなこと教えるわけねぇだろ
馬鹿じゃねぇの
てか、そんなん聞く余裕ある?
嗤ったまま、李都は国木田に向かって攻撃をしかけた。

李都の背後から、氷が現れ、それが国木田に向かって飛んでいく。
国木田は、胸ポケットから拳銃を取り出して対抗する。
五十嵐 李都
五十嵐 李都
なるほどね
いつもより、手応えある
国木田 独歩
国木田 独歩
敦、下がっていろ
目的ではないなら、お前が狙われる心配はない
中島 敦
中島 敦
は、はいっ!
敦は、言われた通りに少し国木田から離れた。
五十嵐 李都
五十嵐 李都
(なんか......ムカつく)
李都がいらっとして、国木田と敦目掛けて、さっきよりも大きな氷を大量に投げた。
国木田 独歩
国木田 独歩
なっ......!
そこに現れたのが、ある男だった。
その男のせいで、李都の異能力は消えた。
五十嵐 李都
五十嵐 李都
は......?
太宰 治
太宰 治
おや、国木田くんじゃないかー!
中島 敦
中島 敦
太宰さん!
敦の顔が、ぱぁっと明るくなった。
国木田 独歩
国木田 独歩
太宰!
国木田の顔は......変わってない。
太宰 治
太宰 治
へぇ、狙われてるわけだ
大変だねぇ、有名な虎は
中島 敦
中島 敦
あの、太宰さん
今狙われてるのは、僕ではなくて......
太宰 治
太宰 治
え? 敦くんではないのかい?
五十嵐 李都
五十嵐 李都
俺が狙ってんのは、そいつだ
李都は、国木田を指差して言った。

太宰を鋭い目で睨み付けて。
太宰 治
太宰 治
へぇ~! 君も狙われることはあるんだねぇ!
良かったじゃないか!
国木田 独歩
国木田 独歩
なぁ~にが良かった、だ!
どっこも良くねぇんだよ!
太宰 治
太宰 治
狙われるぐらい有名、もしくは名前や顔を覚えて貰えたということだろう?
そのうち、もっと有名にやってテレビにも出ちゃったりして!
五十嵐 李都
五十嵐 李都
(なんだ、この男......)
李都は、さっきのイライラもあって更にイライラしていた。
中島 敦
中島 敦
太宰さん、あの人、ポートマフィアらしくて
太宰 治
太宰 治
へぇ......
五十嵐 李都
五十嵐 李都
(太宰......?)
その名前を聞いたことがある。
五十嵐 李都
五十嵐 李都
こいつか......
李都は、今までとは別物の雰囲気を醸し出していた。

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