第26話

本当の姿
6,358
2018/06/15 09:56



「何もありませんよ」



社会的には今の返し方が常識範囲だろう。

でも嘘をついたことが

とても嫌になるんだ。



〔そうなんだ〕



そう。これでいい。

そう思っていた。

でもそんな思いはすぐに

近くの誰かによって蹴散らされた。








〔うそはだめだよ。キムさん〕



どきっとした。

キム先生は私の反応なんかよそにして

どんどん話を進めていく。



〔ごめんねキムさん試したりして。知ってるんだ。チョン先生との関係は全部〕

「なんで」

〔最近キムさんのもとに起こった大きな出来事って何か思い出せる?〕



最近起こった大きい出来事…

まさか



「あの倉庫内での事件…」



そう呟くと



〔大正解だよ〕



私の予想は当たったようだ。



〔僕がチョン先生、いや、チョンジョングクを殺そうとした主犯格だよ〕

「うそ…そんなはず」



信じたくなかった。

大好きだった先生が主犯格だなんて。

でもそれはすぐに現実なんだと分かる。



〔これ、見てごらん〕



差し出された名刺と一枚の紙。

名刺には


“キム株式会社取締役社長、キムソクジン”


一枚の紙には


“チョンジョングク殺害計画”


と記されていた。

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