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第28話

呼ぶ




眠っていた。

いや、眠らされていた。



起きて気付いたこの場所は

見覚えのある場所だった。

埃っぽくて、薄暗く、不気味な場所。



「あ、あの倉庫…」



数ヶ月前、私とジョングク先生がいた場所。



「…会いたいな」



思い出したら胸がぎゅっと苦しくなって

また愛おしさが増す。








ガチャン



扉が開く音。

その方を見ると



〔あっ、起きたんだね〕



いつもの爽やか笑顔でそう言うキム先生。



〔これ朝ご飯〕



そう言って置いた朝ご飯は普通に美味しそうで

家庭的な食事だった。



〔どうぞ〕



でも、このご飯も、爽やか笑顔も

もう、何も感じない。

格好良くもない。

愛おしくもない。

うざくもない。

全部全部、ジョングク先生とは違うの。



〔ごめんね。こんな事しか出来なくて〕



私の両手首は自由が利かないようにされて

座り込む事しか出来ない。



〔僕ね、あなたちゃんが好きなのかも知れない〕



いきなり突拍子もないことを言うから

少し驚いた。



〔何だかあなたちゃんを見てると心がきゅんとして、もっともっとって欲が出るんだ〕



信じることなんて出来ない。



〔ねぇ、これって何なのかな?〕



よく嘘でもそんな事が言える。

吐き気がするくらい気持ちが悪い。










〔僕の気持ち、今、試してみてもいい?〕



危ないと思った時は遅かった。

嫌という前に冷たいアスファルトの地面に

押し倒され、押さえ付けられた。



「せんせっ…!やめてっ…」



押し付けられた唇が

不快感を呼んで

どんどん不安に落ちていく。

暴れても、もがいても

さすが男の力。抵抗が出来ない。

ただ今は誰もいない倉庫に

私の叫び声が響くだけ。




プチン…

プチン…



カッターシャツのボタンが

一つ一つと外される音がした。























希望なんて持てないはずなのに

助けてくれるはずないのに

どうしてだろう。

心の中で私はあなたを呼んでいる。






「ジョングク先生!!!」



大きな声で一つ叫んだ。



































ガタンッ!















届いたのかな。















『呼んだ?』



余裕のあるその表情と。

チャラそうなこの声と。

無駄に整った顔と。