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第27話

真実と寒気



嘘だ嘘だ嘘だ

嘘だと信じたい。



ねぇキム先生、冗談だって、嘘だって言ってよ。



「先生、ドッキリきついですよ…やめてください」



無理に笑顔を作って

自分自身に嘘だと信じ込ませようとしている。


でもそんな私は惨めでしかない。



〔ごめん。嘘じゃない〕



やっぱりね。

嘘じゃないんだから。



キム先生はその後にも言葉を続けた。



〔チョンジョングクは僕の裏会社を唯一知っていた人間だったんだ〕



そこからは思い出話のように

キム先生の過去を振り返っていった。











_______




チョンジョングクは元々僕の後輩だった。

同じ学校で同じバスケ部で仲良くなった。

そして同じ経営の道に進むことになった。

僕は一足先に経営の仕事を始めていて

ジョングクはそんな俺に

その時憧れていたらしい。



でも事態は大きく変わっていった。

ジョングクは最初、経営を学ぶため

僕の会社に入社して働いていた。

そして、ジョングクは退社し

若くしてジョングクの父の会社を継いだ。

そうしたら、一気にジョングクの会社が

軌道に乗り始めた。

それと同時に僕の会社の売上は

どんどん低迷していった。



僕は恐れた。

いつかジョングクに

会社を潰されてしまうんじゃないかと。

だから裏会社を作った。

スパイに裏残業にいろいろ。

金で全ては何とかなった。

教師は裏会社にかけるお金を稼ぐため。

そのおかげで

次はジョングクの会社が低迷していった。



でもジョングクは見抜いていた。

僕が裏で何かをしていることを。



『ヒョン、もう辞めましょうよ』



ジョングクは僕に言った。

でも僕は聞かなかった。

だからジョングクは僕を教師から外した。

多分教育委員会に言ったんだろう。



そして今

ジョングクは僕のいたクラスの教師をし

裏会社を潰そうとしている。



打つ手はもう一つしかなかった。



〔殺す〕



選択肢は一択だけだった。



________






酷く、醜く、恐ろしい現実を突き付けられた。

言葉も出ないほどの。



〔わかった?これで〕



耳を塞ぎたくなるような話だった。

ジョングク先生もキム先生も

こんな事実があったなんて。



〔あ、そういやジョングクは言ってたよ〕



え。ジョングク先生が。



〔『ヒョン、僕、大事なやつがいるんです。きっとヒョンも知っています。あいつの為にこの黒い幕から抜け出したいんです。ヒョンと一緒に』ってね〕



キム先生は頬を少し緩めた。



〔愛されてたんだね。キムさん〕



その言葉に枯れた心が潤い

その潤いで目の中から水滴が零れ落ちた。

言葉にならない思いが私を包み

幸せと後悔が沢山駆け巡った。



「…っ先生!」



呼んでも来ないのは分かってるから

でも先生と口にするだけで

それだけで心が暖かくなった。



「私、先生の所に行かなきゃ」



我に返って思った。

はやく逢いたい。

はやく声を聞きたい。

はやく、はやく…

焦る気持ちは行動に表れて

荷物をまとめ、教室を出ようとした。

その時だった。










































〔ここまで聞いておいて逃げられるとでも?〕




低い、男の声が聞こえた。




〔何で話したと思う?〕







〔チョンジョングクを惚れさせた、君を奪いたいからだよ。何もかもをチョンジョングクから取るためだよ〕






じりじりと近づく声に


逃げ場所が無かった。








〔逃がさないよ。あなたちゃん〕










私との距離が0になり唇が重なった。


名前呼びもキスも何も感じない。


ただ、気持ち悪さと寒気がするだけ。