ジョングク先生と別れた後も
一向に涙は止まらない。
そして体が脳が動こうとしない。
ただこの場所に立ち尽くしているだけ。
ポツポツ…
目から溢れてくる水分とは違う水分が
私の頬を濡らした。
今日、傘持ってきてないや。
まぁでも、私が風邪をひいたところで
誰も困る人はいないだろうからいいや。
雨は最初は穏やかに落ちていたはずが
気づけば、激しく体に打ち付けていた。
「…っはは、あははっ…」
自分が惨めすぎて、笑っちゃうよ。
でも、涙は止まらないんだね。
激しく打ち付ける雨も
私に罰を与えているのかな。
不思議だ。
体に打ち付けていた雨が急に気配を失くした。
でも、目の前の光景は雨が地面を打ち付けている。
そう考えているのもつかの間。
後ろから誰かの温もりを感じる。
〈…何やってんだよ。こんなとこで〉
聞き覚えのある声。
聞いただけで分かる声の主。
〈…ほんと、どこまで世話焼かせるつもりだよっ…〉
ねぇ神様。
あなたはどこまで意地悪なの。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!