結婚式から6ヶ月後…
新婚やのに全然会われへん。
ほんまいつ会えるんよーって叫びたくなるくらいスケジュールが合わん。
それに、私絶賛風邪引き中。
熱あって体しんど過ぎる…
仕事はたまたま数日休みやから良かったけど、家で1人とかめっちゃ寂しい。
知らん、知らん、知らん!!
もう寝る!!
体調悪いし、寂しいし、葵居らへんし!
ふて寝ってこういう事なんかな?
ってちょっと冷静に思って。
けど、体調悪いのと薬の効果に勝てんくて瞼は完全に落ちた。
数時間寝て、ふと目が覚めた。
ぼやける視界と真っ暗な部屋…
けど、その視界はすぐにはっきりしてベッドに突っ伏したまま爆睡してる私の忙し過ぎる社長が目に入る。
そんな事を爆睡してる葵に言ってるけど、実際は嬉しすぎてニヤニヤしてる。
そっと頭を撫でれば、やっぱり髪はサラサラで。
左手を無理矢理引っ張れば、ちゃんと薬指に指輪がある事に安心する。
そう言っておでこに伸びてきた手。
久々の葵の声にドキドキして、熱上がった気がする。
部屋暗くて、あんま顔見えやへんけど…
きっとしょんぼりした顔してるんやろなぁ。
想像しただけで可愛いって思っちゃう。
ちょっとイジメたろ。
ん?
何も反応なし?
………って、えっ???
待って、待って!!
普通にキスされてるやん!?!?
あかんって、風邪移っちゃう。
嬉しいし離れたくなかったけど、葵の肩を少し押す。
あー、めっちゃドキドキしてる。
それに頭撫でてくれとるの嬉しすぎて、もう意味分からん。
そう言って、ベランダに出て行った。
電話してる?
てか…久々に会えたから、ちゃんと顔見たいし電気つけよ。
そう思って、怠い体を起こして電気をつけた。
一気に明るくなった部屋。
ベランダの方を見れば、やっぱりスーツ姿かっこいいって思っちゃう。
ジーッと見てたら、部屋に戻ってきた葵と目が合った。
ほんまに?
それって、葵が韓国に居ってくれるって事やんな?
足フラフラやし、怠いけど…
その返事が嬉しくて葵に飛び込む。
それを大好きなフワッとした笑顔で受け止めてくれるから余計に嬉しくなった。
治したいけど、ずっと心配してくれるなら治したないなぁ…
仕事中にソワソワしてる葵とか想像出来んし。
何か風邪も悪くないって思えてきた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!