第71話

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2022/04/12 16:31
これ…ミナさんが?
ミナ
ミナ
うん…
とても嬉しいです。
料理を見て、それだけで喜んでくれる葵。
それが嬉しいのに、少し恥ずかしくて。
照れ隠しで、「先に着替えて来て」って葵に言ってしまった。


キッチンで盛り付けをしてると、フワッと背中から香る葵の香水。
ミナ
ミナ
座って待っといて。
お腹に回った手。
後ろから抱きしめられて、ドキドキする心臓。
あとちょっとやのに集中出来やへん。
手伝います。
手伝う気のある人は、後ろから抱きしめへん。
ミナ
ミナ
いいから、座っといて。
なかなか離れてくれやん。
こうなったら仕方ない。
照れさせたら離れるやろ。


一旦、手を止めて。
首に手を回して、ちょっと背伸びして。
唇を軽く重ねれば、やっぱり目逸らした。
それは…反則です。
ミナ
ミナ
大人しく座っといてくれへんから。
結局、出来上がるまで引っ付かれたまんまで
けど、料理運んだりするの手伝ってくれて。
ずっと「美味しい」って言って食べてくれた。
それも、普段食細いのに完食。
片付けまで自分でするつもりやったのに、率先して皿洗いしてくれとる。
ミナ
ミナ
葵疲れとるんやから、座っとっても
いいんやで?
片付けくらいさせて下さい。
皿を洗う背中を見てたら、引っ付きたくなってきて…
さっきは抱きしめられとったけど、今度は私が抱きしめる。
洗いにくいんですけど?
ミナ
ミナ
さっきの仕返し。
する事がいちいち可愛いので
困ります。
「困る」とか言ってるくせに、サッと皿洗いを済ませて振り向いて…
そのまま抱き上げられた。
ミナ
ミナ
えっ!?
何で抱っこ…?
んー?
なんとなくです。
いつも見上げてる顔が、ほぼ同じ目線にある。
それに顔が近過ぎて、いつも以上に灰色の瞳に吸い込まれそうになった。
先にお風呂に入って下さい。
ミナ
ミナ
葵が先に入ったらええやん?
少し仕事が残っているので…
ミナ
ミナ
分かった。
シャワーで済まそうと思ったけど、仕事の邪魔したくなかった。


全部食べてくれて、「美味しい」って言ってくれたの嬉しかったとか。
何より喜んでくれた事が1番嬉しかった…って思いながら湯船に浸かりながらニヤけてしまう。


お風呂から上がって、スキンケアして。
リビングに戻ると、葵が居らん。
ベランダを見れば、やっぱりタバコ…
それに、めっちゃ寒いのに薄着やし。
ミナ
ミナ
風邪引くで?
社長の顔になってるんやろなぁって思ってた…
けど、振り向いた葵はフワッとした笑顔でこっちを見て、またタバコを吸い始める。
ミナさんこそ…
折角、お風呂で温まったのに。
ミナ
ミナ
なら、ギュッてして。
「タバコ吸ってるのに…」って言いながら、後ろから抱きしめてくれる。
ミナ
ミナ
ずっと一緒に居ろな?
はい。
普段通りの生活に戻れば、離れ離れになる。
どんだけ寂しくても辛くても、すぐに会える訳ではない。
だからこそ、気持ちを伝えて行動で示す事が大切。


ニューヨークのネオンは、夜中でもキラキラしていて…
きっと、今まで見たどの夜景よりも綺麗やと思う。


アメリカに来て良かった…
時差ボケ治らんし、ずっと寝不足やけど、それ以上に思い出がいっぱい出来た。
次、会えるのはきっと結婚式前。
それまで頑張ろ。

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