第74話

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2022/04/21 16:42
結婚式1日前。


あの後、シャワーを浴びてベッドに。
葵を抱きしめたまま眠った。


朝。
私の腕の中で寝てる葵。
頬っぺには、薄っすら涙の跡…
一緒の歳やのに、背負ってる物も何もかもが違う。
家族の在り方も…
けど、葵なら大丈夫。
だから、私の知らんとこで泣かんといて…
ミナ
ミナ
ほんまに強がりで、不器用で…
忙し過ぎる社長さんやな…
ギュッと抱きしめれば、苦しかったみたい。
離れようとするから、少しだけ力を緩める。
可愛すぎる寝顔を眺めて…何分経ったやろ?
ゆっくり目が開いて、綺麗な灰色の瞳と目が合った。
ミナ
ミナ
おはよう。
…おはようございます。
ミナ
ミナ
もうちょっと寝とってもええよ?
いえ…起きます。
少し仕事をしないと…
仕事……
よし、決めた!
今日だけは、仕事させへん様にしよ。
忙し過ぎるのも分かってるし、社長って事も勿論分かってるけど今日だけは完全オフにしたる。


起き上がろうとする葵の腕を引っ張れば、さっきまで居った位置に戻ってくる。
ミナさん?
ミナ
ミナ
今日は仕事したらあかん。
けど…
ミナ
ミナ
あかん。
だって、今日は恋人で居れる
最後の日やもん。
分かりました。
少し困った顔やったけど、優しく頭を撫でてくれる。
寝る事はなかったけど、ベッドでゴロゴロして。
ちょっとだけイチャイチャして…
気付けばお昼過ぎ。
そろそろベッドから出ましょう。
ミナ
ミナ
んー。
もうちょっと、このままがいいかも。
理性が崩壊しそうなんですけど?
ミナ
ミナ
変態。
人の事、変態扱いしてますが…
何箇所もキスマークつけたの誰ですか?
ミナ
ミナ
だって、私のやもん。
誰にも渡さへんのやから。
葵は気付いてないかも知れんけど、一緒に歩いたりすると、「カッコいい、綺麗」って聞こえてきて不安になるやもん。
それに、結婚しても離れて暮らさなあかんし…
ミナさん以外の人に恋愛感情なんて
抱きません。
ミナ
ミナ
絶対?
はい。
そう言った葵は優しくて。
不安が消えた訳ちゃうけど、安心出来る。
もっと安心したくて、腕の中に入り込めばギューっと抱きしめてくれた。
お昼食べて、またゴロゴロしましょう。
何食べたいですか?
ミナ
ミナ
作ってくれるん?
はい。
パスタとか簡単な物で大丈夫なら。
サッと作ってくれたパスタとサラダ。
凄く美味しかった。
それに、後片付けまでやってくれて至れり尽くせり。
一緒に歯磨きして、またベッドでゴロゴロして。
葵と付き合ってから、こんなにゆっくりした休日を過ごしたのは初めてやった。


夕方…
秘書さんが、大量の荷物を持って部屋に来た。
秘書
今日の夕ご飯は、私が作ります。
あと、これは…
とてつもなくおおきい箱から出てきたのは…
ミナ
ミナ
ウェディングドレス…
秘書
はい。
私からミナさんへのプレゼントです。
葵さんの事…これから先もずっと
支えてあげて下さい。
深々と頭を下げる秘書さんの肩は震えていて、声は揺れとった。
その姿を少し離れた所から、ちょっと照れながら…けど、嬉しそうに見る葵。
ミナ
ミナ
ありがとうございます。
絶対に支えるって約束します。
顔を上げた秘書さんは、泣いてるのに優しく微笑んで。
涙を拭ってから、いつも通り葵にちょっと悪態つきながら料理をし出した。

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