第70話

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2022/04/07 16:41
その後は…まぁ言わんでも分かるよな?


朝。
目が覚めた時には、葵は居らんくて。
テーブルの上に1枚の置き手紙。


「おはようございます。
仕事に行ってきます。
冷蔵庫に色々入ってるので、好きに使って下さい。
夕方には帰れると思います。
何かあれば、すぐに連絡下さい。」
ミナ
ミナ
起こしてくれたら良かったのに…
冷蔵庫を開けると食材がぎっしり。
フルーツを適当に切って、朝ご飯。
ミナ
ミナ
暇やなぁ。
掃除する?
いや、部屋めっちゃ綺麗やし。
んー?
料理…
喜んでくれるかな?
よし!頑張って作ってみよ。


もう一回冷蔵庫を開けて、自分が出来そうな料理を考える。


…葵って何好きなんやろ?
オムライス、よく食べてる気する。
けど、他に好きな物…
何も思い浮かばん。
とりあえず、オムライスに合いそうな物作ろ。


そんな事を考えながら、テレビをつけて映画を流す。
全てが英語表記で、それでも何不自由なく生活してる葵を尊敬する。


ピンポーン…


えっ!?
誰か来た??
知らん人(殆ど知らん人やけど…)やったら、申し訳ないけど居留守使わせてもらお。


恐る恐るモニターをつけると、秘書さんが立っていて、恐怖は安心へと変化する。
秘書
すみません。
ゆっくりしている所…
ミナ
ミナ
いえ、大丈夫です。
あの…何かお探しですか?
さっきから、ずっとキョロキョロしてはる。
秘書
スマホの充電器を…
充電器やったらベッドにあるはず。
昨日、枕元で充電してたし。
ミナ
ミナ
ベッドの所にないですか?
秘書
ありがとうございます。
せかせかとベッドまで行って、充電器をコンセントから引っこ抜く秘書さん。


…そうや!
秘書さんやったら、葵の好きな物知ってそう。
忙しいと思うけど、ちょっと聞いてみよ。
ミナ
ミナ
あの!
少し聞きたい事があるんですけど。
秘書
何でしょう?
ミナ
ミナ
葵の好きな物って何ですか?
秘書
好きな物…
んー、物ではないですがミナさんだと
思います。
いや…あの…そういう事じゃなくて。
私の聞き方が悪かったんやと思うけど、好きな食べ物を知りたいんやけどな。
秘書
…あっ!すみません!
もしかして、好きな食べ物の話ですか?
恥ずかしくて、頷く事しか出来へん。
秘書
そうですね…
あまり食には興味がない人なので。
けど、ミナさんが作った物なら
何でも喜ぶと思います。
ミナ
ミナ
何でも…?
秘書
はい。
何故ならミナさんは、葵さんにとって
大切な人だからです。
まぁ、葵さんの場合は不器用なので
喜びを表現するの下手だと思いますが。
「お茶漬けでも喜ぶと思いますよー」って笑って、サッと部屋を後にした秘書さん。


…結局、好きな物聞けへんかったやん。
さっきの秘書さんの言葉、嬉しかったなぁ。
って、あかんあかん。
そろそろ料理の準備せな。


料理をして、約1時間後。
ほぼ出来上がったぐらいの時に、玄関が開く音がした。
お見送りは出来んかったから、せめてお出迎えぐらいって思って玄関に向かう。
ミナ
ミナ
おかえり…
ただいま。
数時間離れただけやのに、姿を見てしまえば寂しかった事を実感する。
その寂しさを埋めるように、葵の胸に飛び込んでギュッと抱きしめた。

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