11月。あれから2カ月が経ち、気持ちも落ち着いた。
…なのに。
プルルルル_
_プッ
文化祭の後、皇成たちはそれまで通りに6人で過ごしていた。しかしその中の関係性は明らかに変化し、蓮と皇成が直接話すことは少なくなっていた。
決めたとおり、学校以外で行動をともにすることもない。
2人の間には、見えない壁ができていた。
_日曜日
今日は4人で遊園地へ行く。楽しそうな表情のうらで、皇成は今日が早く終わるよう、必死に願っていた。
「キャーーー!!!!」
そう言って沙彩が指差したのは、巨大なジェットコースター。「マジかよ」そう小さく呟いて、冷や汗を流す皇成だった。
_2時間後。結局あれから4回ジェットコースターに乗り、お昼時で混みあうフードコートでは、蓮と皇成がグッタリとしている。席取りを任されたのだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!