ないちゃんは1回口を噤んだ。
静寂が場を包む。
ないちゃんは静かに頷いた。
まろちゃんが倒れた時点で日はかたむいていたため、そとは真っ暗だった。
街灯の無い外は何も見えなかった。
俺たちは各々、部屋へ戻った。
それから数日間、俺たちは必要最低限の会話以外、ほとんどそれぞれの部屋で過ごした。
らびまるは明らかに元気のない俺たちの姿を見て不安そうな顔をしていた。
時々悠くんの部屋の前へ行ってはドアを軽く押し、開かないのを確認して俺の肩へ戻ってきた。
変化があったのは数日後。
部屋の中にらびまるの姿が見えず、俺は部屋を出た。
悠くんの部屋のドアが開いているのが見えた。
俺は部屋を覗いた。
意外なことに、部屋の中は驚くほど綺麗だった。
悠くんはいなかった。
俺は1階へ駆け下りた。
ソファーには、らびまると遊ぶ懐かしい姿が見えた。
悠くんは俺の声に反応し、こっちを見た。
そして嬉しそうに笑った。
俺はそのまま悠くんに抱きついた。
俺の声で気づいたらしいメンバーも階段を降りてきて悠くんに抱きついた。
それから、半年が経とうとしていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。