第19話

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2022/10/31 23:00
初兎
もう半年も経つのか……
俺は自分の部屋で呟いた。

今日はちょうど俺がこの共同生活に加わって半年だ。

りうらの痣は左肩から膝、手首、首まで広がった。

いむくんは羽をシャツで隠せなくなり、今はとても邪魔そうにしている。

ないちゃんは……わかんない。

本人が隠してるのか、あまり進んでいないか。

多分前者だろう。

まろは両肩宝石になった。

どういう構造なのかは分からないが普通に動かしている。

ただ、ものを持ったりするのがとても大変そうだ。

悠くんは、右足が完全になくなり、左足も膝までしか残っていない。

今は車椅子を使っている。

俺は何も変わってないと思う。

そういう病気だし。


朝の10時。

ないちゃんは2度寝していて、悠くんと青組で買い物に行っている。

悠くんは義足をつけて車椅子、いむくんはかなり大きめな上着を着て、まろは長袖に手袋を付けて出かけていった。

俺はまだここに来てから買い物に行っていないが、買い物に行く時は念の為、医者に発行される「奇病患者証明書」というものを持ち歩くらしい。

りうらはリビングにいるはずだ。

そう思い、俺はリビングへ向かった。

階段を降りたらリビングでテレビを見ているりうらが目に入った。

りうらは足音で俺に気づいたらしく、こっちを振り向いた。
りうら
あっ!初兎ちゃんおはよ〜!!
りうらは手を振った。

何気ない行動だったが、俺はその手に目がいってしまった。
初兎
おはよりうら……また進行したん?
その手には、今までなかった痣が見えた。
りうら
あぁこれ…?うん……
りうらは服の袖をひいて隠した。

よく見ると、ハイネックの服を着ていて、首の痣を隠しているようだった。
りうら
……今日も締め付けられる痛みで目が覚めたんだよね……
初兎
え!?大丈夫だったん?
りうら
うん
ほとけっちが治してくれた
初兎
そっか…良かった
無理しないでね……?
いつも思う。

りうらの病気が1番よく分からない。

少しでもなにかわかったり、治療法が分かったりしてほしい。
りうら
……ねぇ初兎ちゃん
初兎
りうら
…………花締病の治療法……知ってる?
初兎
……ごめんやけど知ってるわけないやん
りうら
www
まぁ〜そうだよね〜不明のはずだもんね〜……
初兎
……え?
"不明のはず"

俺はその言葉に驚いた。
りうら
……初兎ちゃんも気づいてなかったんだ
みんな鈍感だね
ほら、これ見て
りうらの手には、ここに来る時に渡された説明書があった。

「それは本人には見せてはいけない秘密事項です。」

医者の言葉が蘇る。
りうら
ごめんねw部屋から持ってきちゃったw
俺のところ予想通りだったよw
安心して、みんなには見せてないから
りうら
そして……ここ!
りうら
治療法不明って書いてあるでしょ?
その横だけ少し汚れてるの分かる?
俺は言葉が出なかった。

確かに、「不明」の横「'」……汚れている。

最初は印刷によって生じた汚れかと思っていた。

しかしよく見ると、他の場所は全く汚れていない。
りうら
ここだけどうしても消せなかったんだよねw
りうらは話し始めた。
りうら
りうらね……ここに来る前日に発症したんだけど……彼女がいてね?
発症した一ヶ月前に……事故で………りうらがちゃんと確認しなかったから………車に……
りうらの手は震えていた。

俺はその手を握ってあげる。

そしたらりうらは安心したように話し始めた。
りうら
……それから……ずっと寂しくて悲しくて…抱きしめてもらった感覚が忘れられなくて……
りうら
そしたらね?夢に彼女が出てきたの。
りうらを優しく抱きしめてくれた……ごめんねって言いながら。
目が覚めたら、左胸にこの痣があって……どっかにぶつけた覚えもないしズキズキ痛いし…変な形してたから……病院行って……それで発症が確認された……
りうら
…………治療法は………好きな人に抱きしめてもらうこと
俺は大きな衝撃を受けた。

じゃあ……
初兎
りうらの病気は……
りうら
そう。
発症当初から…治らないことは決まっていた
りうら
でも当たり前だよね!だってりうらのせいで彼女は死んだんだし!りうらのせいで…りうらがちゃんと周り見てれば……!!なんで…りうらが死んだ方が良かったのに……りうらのせいで……りうらが!!
初兎
りうちゃん!?
俺は、りうらの精神が乱れているのが分かった。
初兎
ないちゃん呼んでくるね
俺は慌てて立ち上がろうとした。

その腕をりうらが掴んだ。
りうら
待って!!……もう…大丈夫だから……
ほとけっちには言わないでね……?ショックが大きすぎると思うから……
俺はないちゃんを呼びに行かないことを躊躇った。
りうら
……ねぇ初兎ちゃん……
りうら
なんで……奇病ってだけなのに……こんなに違うんだろうね
りうらの手には禍々しい痣が見えていた。

俺はその場に座り込んだ。








ガチャ

ドアの間音がした。

俺たちは反射的に音のした方を見る。

そこには血相を変えた悠くんがいた。
悠佑
まろが倒れた。

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