俺は自分の部屋で呟いた。
今日はちょうど俺がこの共同生活に加わって半年だ。
りうらの痣は左肩から膝、手首、首まで広がった。
いむくんは羽をシャツで隠せなくなり、今はとても邪魔そうにしている。
ないちゃんは……わかんない。
本人が隠してるのか、あまり進んでいないか。
多分前者だろう。
まろは両肩宝石になった。
どういう構造なのかは分からないが普通に動かしている。
ただ、ものを持ったりするのがとても大変そうだ。
悠くんは、右足が完全になくなり、左足も膝までしか残っていない。
今は車椅子を使っている。
俺は何も変わってないと思う。
そういう病気だし。
朝の10時。
ないちゃんは2度寝していて、悠くんと青組で買い物に行っている。
悠くんは義足をつけて車椅子、いむくんはかなり大きめな上着を着て、まろは長袖に手袋を付けて出かけていった。
俺はまだここに来てから買い物に行っていないが、買い物に行く時は念の為、医者に発行される「奇病患者証明書」というものを持ち歩くらしい。
りうらはリビングにいるはずだ。
そう思い、俺はリビングへ向かった。
階段を降りたらリビングでテレビを見ているりうらが目に入った。
りうらは足音で俺に気づいたらしく、こっちを振り向いた。
りうらは手を振った。
何気ない行動だったが、俺はその手に目がいってしまった。
その手には、今までなかった痣が見えた。
りうらは服の袖をひいて隠した。
よく見ると、ハイネックの服を着ていて、首の痣を隠しているようだった。
いつも思う。
りうらの病気が1番よく分からない。
少しでもなにかわかったり、治療法が分かったりしてほしい。
"不明のはず"
俺はその言葉に驚いた。
りうらの手には、ここに来る時に渡された説明書があった。
「それは本人には見せてはいけない秘密事項です。」
医者の言葉が蘇る。
俺は言葉が出なかった。
確かに、「不明」の横「'」……汚れている。
最初は印刷によって生じた汚れかと思っていた。
しかしよく見ると、他の場所は全く汚れていない。
りうらは話し始めた。
りうらの手は震えていた。
俺はその手を握ってあげる。
そしたらりうらは安心したように話し始めた。
俺は大きな衝撃を受けた。
じゃあ……
俺は、りうらの精神が乱れているのが分かった。
俺は慌てて立ち上がろうとした。
その腕をりうらが掴んだ。
俺はないちゃんを呼びに行かないことを躊躇った。
りうらの手には禍々しい痣が見えていた。
俺はその場に座り込んだ。
ガチャ
ドアの間音がした。
俺たちは反射的に音のした方を見る。
そこには血相を変えた悠くんがいた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。