第39話

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2020/08/29 09:00

葬儀が終わり、松川のお父さんに呼び止められた。

松川 雄大
松川 雄大
これ……
赤坂 翔也
赤坂 翔也
何ですか?
松川 雄大
松川 雄大
佑奈の病室に落ちていた。佑奈と仲良くしてくれてありがとう。


それだけを言うと、松川のお父さんは去っていった。


手紙……?




俺は封筒をあけ、手紙を開いた。





赤坂くんへ


あなたがこれを読んでいる…ということは、もう私はあなたのそばにはいないんでしょうね。


もうあなたは気づいているかもしれないけど、私はあの子です。
あなたに女の子の気持ちを何故か教えていたお母さん、その娘。
それから、東京に引っ越して10年程。
私は高校であなたに会った。私はすぐに分かったよ。
あぁ、家出したんだなって。
あなたのお母さんやお父さんのこともなんとなくだけど、分かっていたから、すぐに納得できた。
あなたはきっと『愛』を知らない。私が残りの人生、何かをやり遂げたいって思った時、生きがいを探していた時、あなたに『愛』を教えよう、そう思ったの。
だから、私は一クラスメイトとして、あなたに近づいた。嘘ついててごめんね。


でも、気がついたら好きになっちゃいそうで

病気の私が人を好きになったら相手を悲しませるだけ…そんな顔を天国から見るのは嫌だった。だから、付き合うことはしなかったし、付き合うとしても好きじゃない人に……ってね。


でも、あなたのことは本当に好きでした。


あなたに教えるはずだった『愛』

私はあなたに教えてもらいました。


あなたが「松川」と呼ぶ度に、私は幸せだなと感じました。


この先、あなたの人生は長い。

好きなように生きてください。


でも、ただ一つ。お願いがある。

どうか、私のことは忘れないでください。


今まで本当にありがとう。

あなたは私の生きる希望でした。


松川佑奈




なんだよ、これ……


手紙を読み終わった俺の顔は悲惨な程に涙でぐちゃぐちゃだった。


松川は、最後までとんでもないやつだ。


とんでもなく、俺を狂わせる。


今まで俺が知らなかったもの


全てこの短期間で教えてもらえた。


俺は幸せ者だ。




松川……ありがとう。


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