第8話

幕間
610
2022/05/29 10:00
「未熟だから蝕まれ、蝕まれるから未熟なのだ」




と、少年が言う






「未熟な者は”やみ”に抵抗できない」


「だから”やみ”に憑かれるのだ」





「”やみ”に憑かれた者は永久に未熟なままだ」


「何故なら”やみ”は憑いた者の滋養を貪り喰らうからだ」





「憑いた者の、



正義を、

美を、

言葉を、

強さを、

仲間を、

贖いを、



悪を、

醜さを、

傷を、

退屈を、

孤独を、

罪を、



その、何もかもを」






「だから憑かれた者は偽ることで抗う」


「全てをなくしても尚、自分には何かがあると」





そう語る少年を、




全てを無くし

偽ることも出来ず

抗うことを諦めた私は



ただ、傍観するだけだった。

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