司会
『それでは、新入生代表。博麗霊夢さん、お願いします。』
機械音と共に呼ばれた私の名前。
『はい』と声が体育館を反響するのを感じながら前へ歩いていく。
先生やPTAの方々へ礼をして、新入生代表の言葉を言う。
見られている。
言葉が詰まってはいけない。
忘れないようにずっとリピートしてた内容を間違えずに声として伝える。
体育館に私の声が入った機械音が響く。
楽しい。
いや、違う。
でも、そんな感じ。緊張は楽しさへと変わる。丸暗記した台本は私の声へと変わる。私の声はマイクによって機械音へと変わる。
それが、皆へ伝わる。
それがとても楽しい。聞いてもらえる。頑張って良かった。新入生代表に選ばれて良かった。そう思えた。
あの後、生徒会長にもお褒めの言葉をいただいた。
他の生徒(クラスメイト)にも凄いと言われた。
とても嬉しい。とても楽しかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。