密ちゃんについて調べると、旧校舎のロッカーに行けば会えるということがわかった。
俺は他の人に見つからないよう、放課後にロッカーを探しにいった。
俺は空き教室のロッカーを開けて首を傾げた。
備品置き場になっている旧校舎には、生徒が使っていたであろうロッカーや掃除用具入れがいくつも残されている。
どのロッカーを開ければ密ちゃんに会えるのか、肝心なところまでは調べなかった。
黒いなにかが動いていると思ったら、足元に一匹の猫がいた。
こんなところにいるなんて、おそらく野良猫だろうけど、毛並みは誰かにいつも撫でられているみたいにつやつやしていた。
おそるおそる手を近づけると、黒猫は頭を突き出して撫でさせてくれた。
今日は諦めて帰ろうと思っていると、黒猫が突然歩き出した。
まるで付いてこいと言っているように、黒猫は時折振り返りながら進んでいく。
そして古びた廊下の突き当たりには、淡い夕日色に染まっているロッカーがあった。
なんのために置かれているのかわからないロッカーは、まるで誰かが来るのを待っているみたいに見える。
ここまで道案内してくれた黒猫は、いつの間にかいなくなっていた。
勇気を出してロッカーの扉を開けると、そこには地下へと続く階段があった。
なんの躊躇いもなく、足早に階段を降りる。
そして、開けた場所に出ると、セーラー服を着ている女の子と目が合った。
その腕には、先ほどの黒猫が抱かれていた。
その言葉に、心が躍る。
俺は元々引っ込み思案な性格で、自分から前に出るタイプじゃなかった。
だけど、中学2年生の時、クラスで流行っていた携帯用ゲーム機のソフトをいち早くクリアしたことで、一気に風向きが変わった。
みんなが俺に一目置くようになり、自然と周りに集まってくれるようになった。
嬉しいというより、快感だった。
その気持ちがいつまでも忘れられずに、みんなから注目されるにはどうすればいいか試行錯誤してきた。
でも、面白い話がいずれ飽きられることも、環境とともに相手にされなくなることも、本当はわかっていた。
密ちゃんが渡してくれたのは、銀色に輝く指輪だった。
他の人には見えないらしい指輪を着けると、毎日が誕生日になるのだという。
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!