〈バースデイリング〉のおかげで、俺の誕生日は毎日やって来る。
最初はすごく嬉しかったし、特別扱いされる心地よさに酔っていたが、やっぱり毎日続くと当然ながら飽きてくる。
今日も朝からみんなに祝ってもらい、たくさんのプレゼントを貰ったが、あまり喜べない自分がいた。
想像しただけで、吐き気を催してしまい、思わずトイレに駆け込んだ。
1か月間毎日ケーキを食べ続けた結果、体が完全に拒絶反応を起こしていた。
最初は永遠に続いてほしいと願った誕生日も、今や苦痛そのものとなっている。
それは誕生日に慣れたからではなく、日に日に不調をきたしていく俺の体が原因だった。
トイレの鏡に映っている自分の顔は、明らかに疲れきっていた。
見た目はなにも変わっていないはずなのに、その瞳に輝きはなく、どこか衰えた雰囲気も漂っている。
そんなの聞いてないけれど、体がおかしくなったのは明らかに〈バースデイリング〉を着けてからだ。
指輪を外す方法をネットで探し、あらゆる手を試してみても、〈バースデイリング〉はまるで俺の体の一部のように離れない。
そして2か月以上が経った頃には、俺の視力はほとんど見えなくなっていた。
視力だけじゃなく体力も0に近く、最近は杖を使わないと歩けなくなった。
病院に行っても原因はわからず、ビタミン剤だけを処方されるだけ。
学校に行くにも時間がかかり、やっとの思いで授業に出ることができても黒板の字が見えない。
体育も見学、昼ごはんもみんなと同じものが食べられず、放課後のカラオケの誘いも体が持たずに断る日々が続いている。
そんな俺を見て最初は心配してくれていた友達も、次第に距離を置くようになっていた。
学校から家までは徒歩で15分くらいなのに、かれこれもう1時間は歩いている。
なのに、足が前に進まない。
腰も痛い。膝も痛い。これじゃまるで……。
その時、俺の前に密ちゃんが現れた。
耳が遠くなっていて聞き取りづらかったけれど、今俺のことを77歳だって言わなかったか?
すると、密ちゃんは顎に指を添えて、きょとんとした顔をした。
アイテムをもらって、もう2か月以上が過ぎている。
その間、俺は毎日年を取っていたってことか?
考えるだけで、背筋が凍る思いがした。
慌ててアイテムを外そうと試みるものの、やはり指から離れることはなかった。
密ちゃんが、俺に向かってにこりと微笑んだ。
体の力が抜けてしまった俺は、その場に座り込んだまま動けなかった。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。