第13話

西村友紀⑥
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2026/05/15 09:00 更新
〈バースデイリング〉のおかげで、俺の誕生日は毎日やって来る。

最初はすごく嬉しかったし、特別扱いされる心地よさに酔っていたが、やっぱり毎日続くと当然ながら飽きてくる。
クラスメイト
友紀、誕生日おめでとう~!
今日も朝からみんなに祝ってもらい、たくさんのプレゼントを貰ったが、あまり喜べない自分がいた。
クラスメイト
友紀、誕生日なのに嬉しくないのかよ?
友紀
友紀
い、いや……
クラスメイト
今日の放課後はカラオケに行ってみんなでパーティーだからな!
クラスメイト
誕生日特典のオリジナルケーキも食べれるし!
友紀
友紀
ケ、ケーキ……うっ
想像しただけで、吐き気をもよおしてしまい、思わずトイレに駆け込んだ。

1か月間毎日ケーキを食べ続けた結果、体が完全に拒絶反応を起こしていた。
友紀
友紀
(バースデイリングが外れるまで、あと何日だ?)
友紀
友紀
(100日間というルールなら、単純に計算してもあと70日ある)
友紀
友紀
あと2か月…………
最初は永遠に続いてほしいと願った誕生日も、今や苦痛そのものとなっている。

それは誕生日に慣れたからではなく、日に日に不調をきたしていく俺の体が原因だった。
友紀
友紀
……俺、こんな顔だったっけ?
トイレの鏡に映っている自分の顔は、明らかに疲れきっていた。

見た目はなにも変わっていないはずなのに、その瞳に輝きはなく、どこか衰えた雰囲気も漂っている。
友紀
友紀
(……アイテムの副作用か?)
そんなの聞いてないけれど、体がおかしくなったのは明らかに〈バースデイリング〉を着けてからだ。
友紀
友紀
……くっ、やっぱり外れないよな
指輪を外す方法をネットで探し、あらゆる手を試してみても、〈バースデイリング〉はまるで俺の体の一部のように離れない。
友紀
友紀
ハア……ハア…………
そして2か月以上が経った頃には、俺の視力はほとんど見えなくなっていた。

視力だけじゃなく体力も0に近く、最近は杖を使わないと歩けなくなった。

病院に行っても原因はわからず、ビタミン剤だけを処方されるだけ。

学校に行くにも時間がかかり、やっとの思いで授業に出ることができても黒板の字が見えない。

体育も見学、昼ごはんもみんなと同じものが食べられず、放課後のカラオケの誘いも体が持たずに断る日々が続いている。

そんな俺を見て最初は心配してくれていた友達も、次第に距離を置くようになっていた。
友紀
友紀
ハア……ハア、くそっ!
学校から家までは徒歩で15分くらいなのに、かれこれもう1時間は歩いている。

なのに、足が前に進まない。

腰も痛い。膝も痛い。これじゃまるで……。
密ちゃん
密ちゃん
大変そうだね、77歳の友紀くん♪
その時、俺の前に密ちゃんが現れた。

耳が遠くなっていて聞き取りづらかったけれど、今俺のことを77歳だって言わなかったか?
友紀
友紀
そ、それって、どういう意味だよっ?
密ちゃん
密ちゃん
うにゃー? そのまんまの意味だけど?
友紀
友紀
だから、ちゃんと説明しろって!
すると、密ちゃんはあごに指を添えて、きょとんとした顔をした。
密ちゃん
密ちゃん
説明もなにも〈バースデイリング〉は、毎日が誕生日になるアイテムなんだから、毎日一歳ずつ年を取るのは当たり前でしょ?
友紀
友紀
一歳ずつ…………?
アイテムをもらって、もう2か月以上が過ぎている。

その間、俺は毎日年を取っていたってことか?

考えるだけで、背筋が凍る思いがした。

慌ててアイテムを外そうと試みるものの、やはり指から離れることはなかった。
密ちゃん
密ちゃん
心配しなくても、リングは100日後に外れるから大丈夫だよ!
友紀
友紀
な、なにが大丈夫なんだよ!
友紀
友紀
100日後ってことは、100歳年を取るってことだろ! そうしたら俺は……ゲホゲホっ
密ちゃん
密ちゃん
もう、あんまり興奮しちゃダメだよ。友紀くんの見た目は17歳のままでも、中身はおじいちゃんなんだから
密ちゃんが、俺に向かってにこりと微笑んだ。
密ちゃん
密ちゃん
バースデイリングが外れるのが先か、それとも友紀くんの寿命が先か、どっちだろうね?
友紀
友紀
…………っ
密ちゃん
密ちゃん
今日も明日も明後日も明明後日も、誕生日おめでとう、友紀くん♡
体の力が抜けてしまった俺は、その場に座り込んだまま動けなかった。

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