ゴールラインの先で、地面に倒れ込んだ私を聖奈が見下ろしていた。
予選1位通過した聖奈は、当然全国大会に行ける。
一方の私は全国に行けないどころか、このまま部活も引退だ。
なんで、こうなってしまったのかはわからない。
だけど、私の陸上人生をめちゃくちゃにした人ならはっきりしている。
私は聖奈を睨み付けた。
感情を抑えることができない私は、うっかりとスパイクのことをバラしてしまった。
密ちゃんから貰った蛍光色のスパイク。聖奈はたしかにそれを履いているけれど、私も同じものを履いている。
おそるおそる自分のスパイクを確認すると、中敷きにスマイルマークの目印が書かれていた。
やっぱりこれは私のスパイクだと胸を撫で下ろしたが、よく見てみるとスマイルマークの口が開いている。
私が自分の目印として書いたマークは、口が閉じていたはずなのに……。
そんな声がして、ハッとした。気づくと、聖奈の後ろに密ちゃんが立っていて、私に向かって手を振っている。
一瞬だけ聖奈と密ちゃんがグルだったのではないかと疑ったけれど、密ちゃんの姿は聖奈に見えていないようだった。
密ちゃんは悪びれる様子はなく、ずっとにこにこしていた。
私は八つ当たりするように、聖奈を怒鳴りつけた。
聖奈だけじゃなく、他の人も変な目でこっちを見ているけれど、今はそんなのどうでもいい。
密ちゃんに詰め寄ろうとしたけれど、足の痛みがひどくて動くことができない。
そんな私のことを、密ちゃんは満足そうに見つめていた。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。