しかし翌日。いつものように教室に入ると、ミヨたちと離れてひとりでいるナツキの姿があった。
ミヨは大きな声で怒っていて、その側にいるシオリは同意するように頷いている。なにが起きたのかわからないでいると、ミヨが弥生に気づいた。
おそるおそる近くに行くと、ミヨは矢継ぎ早にナツキの悪口を言いはじめた。
時任くんとナツキのことが、なぜバレたのかはわからない。だけど、ミヨの怒りは相当で、わざとナツキのロッカーを蹴ったりしていた。
弥生が狼狽えている中、ナツキがこっちを見ていた。その視線は怒っているミヨではなく、なぜか弥生に向いている。まるで睨むような目に、不安を覚えた。
休み時間。ナツキに呼び出された弥生は、すぐさま怒鳴られたけれど、当然心当たりはない。
たしかにタイミング的には疑われても仕方ないけれど、弥生は本当に誰にも時任くんとのことを話していなかった。それを必死に説明しても、ナツキは納得してくれない。
ナツキは弥生に向かって、そう吐き捨てた。
その日からナツキは、ミヨにいじめられるようになった。
最初は聞こえる声で悪口を言うだけだったが、次第にエスカレートしていき、ミヨはナツキの物を隠したり、ノートを破いたりと、歯止めが聞かなくなっていった。
そして今日ミヨは、ナツキのことを階段から突き飛ばした。
幸いにも転げ落ちることはなかったけれど、足を捻ってしまったナツキは痛そうに顔を歪ませている。
そんなミヨを止められる人は誰もおらず、シオリもミヨの言いなりだった。
誰もいない放課後、弥生は怪我をしているナツキに声をかけた。ひとりで帰り支度をしているナツキは、泣いていた。
そしてミヨはふたりと同中だった人と連絡を取り、すでに2年以上付き合っていることを知ったのだという。
最初は時任くんと付き合っていることが気に食わなかったはずなのに、今では目的がナツキをいじめることに変わっている。
弥生が夕闇高校に憧れたのは、いつも通学路で見かける生徒たちが楽しそうだったからだ。
自分もあんなふうに笑ってみたい。
一緒に笑い合える友達がほしい。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!