第23話

永井花④
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2026/07/24 09:00 更新
しかし翌日。いつものように教室に入ると、ミヨたちと離れてひとりでいるナツキの姿があった。
ミヨ
マジで友達だと思ってたのに最悪!
シオリ
嘘つくとか、ありえないよね
ミヨ
ってか普通に怖すぎ。どんな気持ちでうちらと一緒にいたわけ?
ミヨは大きな声で怒っていて、その側にいるシオリは同意するように頷いている。なにが起きたのかわからないでいると、ミヨが弥生に気づいた。
ミヨ
弥生、こっちに来て
おそるおそる近くに行くと、ミヨは矢継ぎ早にナツキの悪口を言いはじめた。
ミヨ
ナツキってば、時任くんと付き合ってたんだよ!
弥生
弥生
え………
ミヨ
私が好きなこと知ってたくせに内緒で付き合ってるなんて、裏切りだと思わない?
時任くんとナツキのことが、なぜバレたのかはわからない。だけど、ミヨの怒りは相当で、わざとナツキのロッカーを蹴ったりしていた。

弥生が狼狽えている中、ナツキがこっちを見ていた。その視線は怒っているミヨではなく、なぜか弥生に向いている。まるで睨むような目に、不安を覚えた。
弥生
弥生
(ナ、ナツキ……?)
ナツキ
ミヨたちにバラしたのは弥生でしょうっ!?
休み時間。ナツキに呼び出された弥生は、すぐさま怒鳴られたけれど、当然心当たりはない。
弥生
弥生
ち、違うよ。私は言ってない
ナツキ
じゃあ、なんでミヨたちが知ってるの?
ナツキ
今までうまく隠してきたのに弥生に話した途端にバレるなんて、普通におかしいでしょ!
弥生
弥生
そ、それは……
たしかにタイミング的には疑われても仕方ないけれど、弥生は本当に誰にも時任くんとのことを話していなかった。それを必死に説明しても、ナツキは納得してくれない。
ナツキ
私からすれば、弥生のほうが最低だよ
ナツキは弥生に向かって、そう吐き捨てた。
弥生
弥生
(本当に、私じゃないのに……)
その日からナツキは、ミヨにいじめられるようになった。

最初は聞こえる声で悪口を言うだけだったが、次第にエスカレートしていき、ミヨはナツキの物を隠したり、ノートを破いたりと、歯止めが聞かなくなっていった。
ミヨ
邪魔なところを歩いてるあんたが悪いんだからね!
そして今日ミヨは、ナツキのことを階段から突き飛ばした。

幸いにも転げ落ちることはなかったけれど、足を捻ってしまったナツキは痛そうに顔を歪ませている。

そんなミヨを止められる人は誰もおらず、シオリもミヨの言いなりだった。
弥生
弥生
(私が止めなくちゃ……。でも、どうやって?)
誰もいない放課後、弥生は怪我をしているナツキに声をかけた。ひとりで帰り支度をしているナツキは、泣いていた。
弥生
弥生
ナツキ………
ナツキ
なにか用?
弥生
弥生
足は……大丈夫?
ナツキ
軽い捻挫ねんざだから大したことないよ
弥生
弥生
信じてもらえないかもしれないけど、私は本当に時任くんのことは誰にも言ってないよ
弥生
弥生
ミヨに聞いたら、たまたまナツキと時任くんが手を繋いで一緒に帰ってるところを見たって
そしてミヨはふたりと同中だった人と連絡を取り、すでに2年以上付き合っていることを知ったのだという。
ナツキ
べつに今さらバレた理由なんて、どうでもいいよ。時任くんとも終わったし
弥生
弥生
お、終わった……?
ナツキ
私が男遊びしてるって噂を聞いたみたいでフラれたの。まあ、その噂を流してるのもミヨだろうけど
弥生
弥生
そんな………
最初は時任くんと付き合っていることが気に食わなかったはずなのに、今では目的がナツキをいじめることに変わっている。
ナツキ
私からすれば、弥生も弥生だよ
弥生
弥生
え?
ナツキ
私を気にかけてるふりをしてるけど、結局ミヨたちの前では話しかけてこないじゃん
ナツキ
誰もいないことを見計らって声をかけられても全然嬉しくないから
弥生
弥生
(……たしかにそうだ)
弥生
弥生
(放課後になるのを待って声をかけたのは、私もミヨに嫌われるのが怖いからだ)
弥生が夕闇高校に憧れたのは、いつも通学路で見かける生徒たちが楽しそうだったからだ。

自分もあんなふうに笑ってみたい。

一緒に笑い合える友達がほしい。
弥生
弥生
(私は、私は………)
弥生
弥生
(誰かの顔色をうかがうために、この学校に来たわけじゃない)

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