あなたと栗色の髪をしたアイツが去っていくと、間延びした声でコタが言った。
苛立ちが隠せずに、舌打ちをして毒づいた。
呼び方に違和感を覚え、「知り合い?」ときくと、「腐れ縁。よくあるやつよ、親同士が幼少期から仲良しでね。」と返ってきた。
八つ当たり半分で言うと、
あくまで中立という立場を主張し、何処か遠い目をして言う。
あなたの幼なじみである意味兄貴的なポジションのコタは、余計な手出しはせずにこのまま俺らを見守るつもりなんだろう。
.......あなたが嫌がることをした暁には、何されるか分からないが。
一人っ子だったのもあって、コタもあなたに若干過保護なところがある。
あなたを大切にしてくれるのは嬉しいから、俺は大歓迎だが。
小さい時から良く面倒を見てくれて、あなたもコタによく懐いているし。
あー早く帰ってゲームしたい!なんて伸びをしながら言う相棒の横顔をちらりとみて、先程の「先手必勝」について考える。
奴と幼なじみ(というより腐れ縁?)のコタが言うなら、間違いないだろう。
きっと作戦をしっかり練って、確実に落とす堅実なタイプなんだ。
なら俺は、兄妹の立場を活用して行動するのみ。
見ず知らずのアイツなんかに、生まれてからずっと一緒の俺は負けない。
そんな俺の闘志を感じてか、苦笑いされた。
そんな顔すんな。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。