前の話
一覧へ
次の話

第5話

私の味方 ✔R.Sano
419
2020/07/15 13:25 更新
今日は何もかも上手くいかなかった

占いは最下位だし、会社では怒られるし

なんで私っていつも上手く出来ないんだろう

私なりに頑張ってるつもりでも、いっつも空回り


『っ…あー、…もう嫌だ』


会社から家までの道のりを歩いてる時に泣きそうになる

…こんなとこで泣きたくない

と涙が零れないように、グッと空を見上げる

あー…こんな時玲於がいてくれたらなぁ…

なんか無性に玲於の声聴きたい…

でも玲於達は数日後LIVEがある

こんな事で電話して心配なんかかけられない


『…玲於達も頑張ってるんだ、私も頑張らないと…』


…頑張らないと、って、私なんの為に頑張ってるんだっけ

何をしたくて、この仕事やってるんだっけ

最初の頃は、慣れなくても楽しく仕事が出来てた筈なのに

いつからこんな暗い気持ち抱えて仕事する様になったんだろう


『…もう疲れた』


ボソリと呟いた時


ブーブーとスマホが鳴った


…誰だろう


バッグからスマホを取り出し、画面を見ると

画面に[玲於]と表示されていた


『…もしもし?』

「あ、もしもし?」

『どうしたの?』

「んー、いや、なんか、」

『え、どうしたの』

「なんとなく声が聴きたくなって」

『っ…なにそれ』


普段そんな事言わないくせに、こんな日に限ってそんな事を言うから

我慢してたものが全部溢れ出た


「…○○?泣いてんの?」

『っ…泣いて、ないっ…』

「バレバレの嘘つくな」


言葉は少しトゲがあるのに、優しい玲於の声


「…なぁ、○○」

『っ…ん、』

「俺、○○の事すっげぇ尊敬してんだよ」

『…え?』

「いつも笑顔で頑張ってて、絶対きつい筈なのに弱音吐かなくて。本当にすげぇよ」


…なんで今そんな事言うの、本当に


「○○の頑張りはちゃんと誰かが見てくれてる」

『っ、ん』

「お前が誰よりも頑張ってるのは、俺が一番知ってるから」


あぁ、…私にはこんなに強い味方がいた

誰よりも私の事分かってくれて、誰よりも近くに居てくれてた


『…っ、ありがとう』

「だけど、あんま無理しすぎんな」

『ん、』


玲於と電話をしながら歩いていると、家が見えてきた

角を曲がると私の家がある

角を曲がりながらバッグの中から鍵を取り出して、玄関の方に視線を移す


『…え』

「…おっせぇよばーか」


スマホから聞こえる筈の声が目の前から聞こえる


『玲於…』

「こんな遅くに一人で帰ってんじゃねぇよ」


玲於が通話を切り、スマホをポケットに入れた


『…なんで』

「お前が泣いてたら、何処にだって逢いに行くけど?」


おいで、と言って両手を広げる玲於

その腕の中に入っていくと、玲於の香りに包まれた

そのせいでまた涙腺が崩壊した


「泣きたい時は思い切り泣いとけ」


そう言って、私が泣き止むまでずっと抱きしめてくれていた


「落ち着いた?」

『…ん、ありがと』

「今日はお前ん家泊まる」

『え、でも…』

「明日は軽い確認だけだから大丈夫」

『…ありがとう』



その日は玲於と手を繋いで寝た

また少しずつ、頑張れる気がした

プリ小説オーディオドラマ