今日は何もかも上手くいかなかった
占いは最下位だし、会社では怒られるし
なんで私っていつも上手く出来ないんだろう
私なりに頑張ってるつもりでも、いっつも空回り
『っ…あー、…もう嫌だ』
会社から家までの道のりを歩いてる時に泣きそうになる
…こんなとこで泣きたくない
と涙が零れないように、グッと空を見上げる
あー…こんな時玲於がいてくれたらなぁ…
なんか無性に玲於の声聴きたい…
でも玲於達は数日後LIVEがある
こんな事で電話して心配なんかかけられない
『…玲於達も頑張ってるんだ、私も頑張らないと…』
…頑張らないと、って、私なんの為に頑張ってるんだっけ
何をしたくて、この仕事やってるんだっけ
最初の頃は、慣れなくても楽しく仕事が出来てた筈なのに
いつからこんな暗い気持ち抱えて仕事する様になったんだろう
『…もう疲れた』
ボソリと呟いた時
ブーブーとスマホが鳴った
…誰だろう
バッグからスマホを取り出し、画面を見ると
画面に[玲於]と表示されていた
『…もしもし?』
「あ、もしもし?」
『どうしたの?』
「んー、いや、なんか、」
『え、どうしたの』
「なんとなく声が聴きたくなって」
『っ…なにそれ』
普段そんな事言わないくせに、こんな日に限ってそんな事を言うから
我慢してたものが全部溢れ出た
「…○○?泣いてんの?」
『っ…泣いて、ないっ…』
「バレバレの嘘つくな」
言葉は少しトゲがあるのに、優しい玲於の声
「…なぁ、○○」
『っ…ん、』
「俺、○○の事すっげぇ尊敬してんだよ」
『…え?』
「いつも笑顔で頑張ってて、絶対きつい筈なのに弱音吐かなくて。本当にすげぇよ」
…なんで今そんな事言うの、本当に
「○○の頑張りはちゃんと誰かが見てくれてる」
『っ、ん』
「お前が誰よりも頑張ってるのは、俺が一番知ってるから」
あぁ、…私にはこんなに強い味方がいた
誰よりも私の事分かってくれて、誰よりも近くに居てくれてた
『…っ、ありがとう』
「だけど、あんま無理しすぎんな」
『ん、』
玲於と電話をしながら歩いていると、家が見えてきた
角を曲がると私の家がある
角を曲がりながらバッグの中から鍵を取り出して、玄関の方に視線を移す
『…え』
「…おっせぇよばーか」
スマホから聞こえる筈の声が目の前から聞こえる
『玲於…』
「こんな遅くに一人で帰ってんじゃねぇよ」
玲於が通話を切り、スマホをポケットに入れた
『…なんで』
「お前が泣いてたら、何処にだって逢いに行くけど?」
おいで、と言って両手を広げる玲於
その腕の中に入っていくと、玲於の香りに包まれた
そのせいでまた涙腺が崩壊した
「泣きたい時は思い切り泣いとけ」
そう言って、私が泣き止むまでずっと抱きしめてくれていた
「落ち着いた?」
『…ん、ありがと』
「今日はお前ん家泊まる」
『え、でも…』
「明日は軽い確認だけだから大丈夫」
『…ありがとう』
その日は玲於と手を繋いで寝た
また少しずつ、頑張れる気がした












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。