第5話

2度目の告白
2,822
2021/05/16 06:06
「きよっ」

りんたろうに呼び止められる


反射的に振り返ってしまうが
話がしたい訳ではない

関わりたくないと思ってたのに…

みなとがいるし、変な態度とるより話だけ聞けばいいか…



俺はりんたろうの方に歩み寄りながら後ろを確認する

市川くんが気を遣って少し先で待っててくれる様子…



清「なに?」



り「…きよ、ちゃんと話したいから明日会ってよ」



清「…もうええて」

り「良くないから頼んでる!」

清「今更聞いても…」


り「明日、家の近くの公園に夜8時に行くから」


清「え!おい!」

りんたろうは返事を待たずに、店の中に戻ってしまう






清「悪い、お待たせ」


三「六花先輩、りんたろうと仲良いんですか?」


清「あー…バイトしてた時は年近いから、みんなで海行ったり遊んでた」
「そういえば、みなとは家どの辺なん?」


詮索されたくないから話を逸らす






三「先輩、今度はゲーセン行きましょう!」

慶「俺、UFOキャッチャーで欲しいのあるんだよな!」

小「あ、僕みんなでプリクラ撮りたい!」

清「最近撮ってないなー」

涼「明日でもいいですよ!笑」

さ「早っ!笑」

清「…」




帰り道はりょうがとこたと同じ電車だった

電車を降り1人になると一気に足取りが重くなる

明日、どうしよ…

近づく公園をぼんやり見つめながら歩く


明日ほんまにここに来るんかな





翌日、部活が終わるとりょうがが話しかけてくる

涼「先輩!今日行きますよ!」

慶「おう!」

あ、ほんまに今日行くんや…


さ「きよちゃんも大丈夫だよね?」

清「あ…うん」


部室を出て外で後輩が片付け終わるのを待つ

市川くんがさっちゃんとゲームの話をしてるけど、俺は今夜の事を気にしていた



り「あ、いた」

…振り返らなくても声で分かる、りんたろうだ


り「部活の方には顔出さないようにしてたけど…来てくれるか分かんなかったし…ちょっといい?」


市川くんと目が合う

慶「あれから話してないんだろ?ちゃんと話したら?」


俺は黙って校門の方へ歩き出す

30メートルくらい歩いて、ようやく振り返る


り「きよ、ホントにごめん…あの、浮気は一度だけだから」


清「回数の問題やない」

そう言いながらも、一度と聞いて安心している自分が居る


り「うん、ホントにごめん。俺は…やり直したい。きよの事忘れられないよ」


清「…」


り「もう好きじゃない?俺のこと」


清「いい加減な事は好きじゃない」


り「いい加減な事しない!チャンスちょうだい」


清「俺、お前が初めてやってん、色々ショック大きくて、好きとか嫌いとか分からん」


り「傷つけてごめん、ちょっと流されたと言うか…深く考えてなくて、バレてから音信不通になってガチで焦って」




清「…俺、つまんなかった?下手やったから?」


り「違うよ!違う、俺だってきよが初めてなんだからそんなの分かんないし」

顔を赤くしながら体ごと否定するりんたろうが可笑しくてつい笑ってしまう


清「何やねん、その動き笑」
「…俺な、しょうもないと思ったけど浮気されたって事はそういう事なんかな、って男として結構ヘコんだ」


り「前から言われてた奴で…グイグイ来られて興味本位みたいな…いや、ダメなんだけど!」


清「俺が消えてそいつと付き合ったの?」


り「付き合ってないよ!…きよがいい」


清「…」


気づくと向こうからみんなが歩いて来ていた


三「りんたろう、何しとん?」

り「告白」

清「え!?」

さ「何できよちゃんが驚くの?笑」


三「は!?ダメやで」

みなとが俺の隣に来て腕を絡める


り「お前は関係ないでしょ笑」

三「六花先輩モテるんやで!お前みたいな奴相手にする訳ないやろ、似合わんし」

従兄弟だからか、みなとが遠慮なく言う


り「付き合ってたし」

清「おい、言わなくても…」

三「えー!六花先輩、りんたろうと?こいつアホやで?」

涼「え、なんか意外な組み合わせですね」

清「…そう?」

慶「まぁ、きよは見たまま硬派だし、りんたろうは見た目はチャラいからね」

中身もチャラかったけどな

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