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第1話

半年前
4,013
2021/05/12 14:13
部活の後にみんなと遊んだ帰り、いつものように家の近くの公園脇を歩いていると、歩道にうずくまっている人がいることに気づく


金曜の夜やし…酔っ払いちゃうよな





清「わっ!」


驚いて声が出てしまう

急に立ち上がったその人が俺の顔を覗き込む



俺の顔をじっと見たくせに、何も言わずまたその場に座り込む



なんや、酔っ払いやないねんな…


外見はどう見ても未成年だった



ぶつかりそうになっても何も言わないし、人違いだと思ったからか分からんけど、ジロジロ見たくせに黙って座り込むし…


後になると、家庭環境でも悪いんかなって思うけど



その時に無礼な態度より気になったのは

感情が見当たらない表情だったこと



興味深そうに見る訳でもなく、探るような目で見る訳でもなく、不安そうに確かめるために見る訳でもなく



作り物の目が電波をキャッチして、ただそれに反応して物体を見ただけ

…そんな見られ方をした



人なのか機械なのか分からない



ちょっと怖かった




黙って通り過ぎようとしたのに




「ホテル行かない?」


その人が座り込んで下を向いたまま言葉を発するので

一瞬、自分に言ったとは思わなかった



瞬時に周りに人がいないことを確認して


「か、彼氏いるから」



そう言って足早に通り過ぎた




おじさんに声を掛けられたり、社会人って感じのオトナに声を掛けられた事はあったが、同世代か下の人にあんな風に声を掛けられたのは初めてだった




機械やない、人間や



さっきまでの考えが覆るが、やっぱり不気味な感じがした



あんな顔で言われても勃つもんも勃たんよ



表情がどうであれ、道で声を掛けられて着いていく事はないけど、ついそんな事を思った

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