──勅使瓦本邸
勅使瓦 呉羽
──お父様、只今戻りました。
勅使瓦 優翔
只今戻りました。
呉羽父
………帰ってきたか
呉羽父
外の世界はどうだ?まぁ、答えなくてもわかるが、これに懲りたら今後は勅使瓦に尽くすことだ。
呉羽父
呉羽はもうすぐ婚約が決まる。礼儀作法や社交のための知識を学んでおけ。
呉羽父
優翔は勅使瓦の跡取りとして
今は勉学に励め
呉羽父
話は以上だ。部屋に戻れ
勅使瓦 呉羽
……お父様、何か勘違いをされていらっしゃるようですが、私たちはただこの家に帰ってきたわけではありません。
呉羽父
勘違いだ……?
勅使瓦 呉羽
お話をしに参りました
勅使瓦 呉羽
今回、勅使瓦家を出てとても楽に感じました。苦労は多々ありましたが、それもまた楽しかったです。勅使瓦の重圧や窮屈を感じることなく、自由でした。
勅使瓦 呉羽
この家が嫌いになったわけではありません。むしろ、好きです。でも、あの日から家にいることが嫌になってしまいました。そう、お母様が亡くなってから……
呉羽父
っ……何が言いたい!
勅使瓦 呉羽
お父様……いいえ、パパ。
本来のパパは私たちに無理強いする人じゃなかったはず。私たちに好きなようにさせてくれる人だった。それは、将来のことも……
勅使瓦 呉羽
パパは私たちに何を望んでるの?
呉羽父
っ……………
一通り言いたいことを言い終えた呉羽はじっと父を見つめた。
そこで、今まで黙って聞いていた優翔が口を開く。
勅使瓦 優翔
……父さん、俺たちは家族だ。
何かあるのなら話してほしい。
呉羽父
……………
数秒の間が空いて、父がはぁとため息をついた。
そして、語り出す………
呉羽父
心春……母さんが死んでから沢山の後悔が押し寄せてきた。こうしとけばよかった、あぁしとけばよかった、後悔がすごくあった。
そして、残されたお前たちにどう接すればいいかわからなかった。
呉羽父
でも、ひとつ思ったのが“お前たちには幸せになってほしい”ということだ。
呉羽父
有難いことに金には困っていない。だから、たらふく食わせてやれる。
呉羽父
あとは、正しい道を歩ませるだけ。
だから、物事を見極める目や正しい判断をできるようにする頭脳、知識を与えれるように学ばせた。
呉羽父
良かれと思ってやった事だ。だが、それで2人を苦しめていたとはな………すまなかった。やはり俺は父親失格だな
黙って聞いていた呉羽と優翔は父の話に驚いていた。まさかそんなことを思っていたとは……
そして、目を潤ませながら言った。
勅使瓦 呉羽
パパ、私たちの人生は私たち自身の物
勅使瓦 優翔
“幸せ”は自分で決める
呉羽父
……………
勅使瓦 呉羽
でも、こんなに私たちのことを思っていてくれたなんて………
パパ、ありがとう
勅使瓦 優翔
父さんは父親失格なんかじゃない。
俺たちにとっては最高の父親だ
呉羽父
呉羽……優翔………
勅使瓦 呉羽
これからはママがいない分、
家族3人で頑張ろ!
勅使瓦 優翔
父さんを支えられるように頑張るよ!
呉羽父
2人とも……すまなかったっ……
勅使瓦 優翔
いいんだよ
勅使瓦 呉羽
それもまた“愛”ってね(笑)
こうして、勅使瓦家の仲は元に戻った。
これからは家族3人で支え合って生きていくのだろう。
・
・
・
勅使瓦 呉羽
──というわけで、仲直り?しました
時乃 朝陽
良かったね〜
陣ノ内 陸
ったく、人騒がせなやつ
真城 美月
あら、内心は心配だったくせに(笑)
陣ノ内 陸
うるせぇっ
勅使瓦家のことが終わり、呉羽はカフェで待っていた3人に今までの事を報告していた。
真城 美月
で、あんたこっちに戻るん?
勅使瓦 呉羽
うん、戻るよ!
勅使瓦 呉羽
あ、でも新学期には間に合わないかも
時乃 朝陽
え、なんで?
勅使瓦 呉羽
京都の学校とか家とかの手続きしないといけないし、バイトのこともあるし
陣ノ内 陸
そんなん親父さんがやってくれるんじゃないのか
勅使瓦 呉羽
やってくれるとは言ってたけど、自分たちで始めたことやし、挨拶くらいはしておかんと
真城 美月
じゃあ、会うのはまだまだ先ね
勅使瓦 呉羽
お土産買ってくるね!
真城 美月
いや、いらんわ
陣ノ内 陸
お前を探しに行った時、自分用に買ったしな
時乃 朝陽
まだ八ツ橋残ってるしね……
勅使瓦 呉羽
え、京都には私を探しに来たんやおね?観光楽しんでない!?!?
真城 美月
京都なんてそう滅多に行けんしね
陣ノ内 陸
お前、自惚れんなよ
勅使瓦 呉羽
ひ、酷すぎや………
時乃 朝陽
お、俺は観光もしたけど勅使瓦探しもちゃんとしたでなっ!?
勅使瓦 呉羽
あっくん、優男っ!
でも、観光楽しんどるやん………
元の日常が戻った。
夏休みはもう終わる……
そして、待ちに待った新学期っ!!!
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第14話 サプライズ
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