〈松村 穂海〉
なんで...
なんでこんなにも涙が止まらないの
そう佐久間さんに言われて
余計に涙が出てきた
佐久間さんが背中を摩ってくれて
ラウールくんが手を握ってくれてる
しばらくして落ち着いた頃だろうか
部屋のドアが開いた
入ってきたのは
お兄ちゃんだった
お兄ちゃん...
その声は涙を我慢している声だった
悲しませちゃった...
迷惑かけちゃった...
失望...させちゃったかな
こんな自分...もう嫌なのに
周りに人がいるって素敵な事
一緒に笑ってくれる人がいるって最高
みんなに囲まれて笑って泣いて喜んで
これから色んなことが出来るって思うと悩んでた事が嘘みたいに無くなる
しばらくこの4人で笑っていた
佐久間くんやラウールくんとも少し仲良くなれた気がする
ちょっとでも近づけた気がする
ずっと生まれてきて公開してた
こんなんで将来の事なんか不安しか無かった
急に居なくなったお兄ちゃんも心配で
何もかもが真っ暗だった
でも...今こうして幸せを感じれてる
こうやって皆と笑い合えてるのが1番の幸せ
[ガチャ]
こんな私ですら心配をしてくれる
こんなにも暖かい人達に恵まれた
今からでも十分自分の人生を自分らしく生きられる気がする
そんな空間を作ってくれる皆には
感謝してもしきれない
あの時、佐久間さんが来てくれなかったら私は死んでた
結果として私は面白くて優しくて素敵な人たちと出会うことが出来た
いつかちゃんとお礼がしたいな
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!