第2話

俺と大我との出会い
1,985
2021/01/11 14:05
(北斗 side)

高校1年生の春。

「やっべ、入学式早々、遅刻かよ。」

とぶつぶつ文句をたれながら、食パンを1枚かじりながら、自転車をこいでいた。

横断歩道を渡り、学校への一直線の坂道を下る直前だった。

満開の桜の木の下で、それを気持ち良さそうに見上げている、金髪で透き通るように白い肌をもつ同じ制服を着た男がいた。

あまりそれが、映画で見るようなワンシーンように感じられたが、カラスの声に我に返り、このままだと遅刻することに気がついた。

ということは、あの人も遅刻するってことか?それは、やばくないか?そう思って、声をかけた。

「あ、あの!もしよかったら、俺の自転車乗っていきませんか?」

その声に驚くように振り返った彼は、今にも儚く消えそうなきれいな顔立ちをしていた。

??「え!いいんですか!!助かりました!入学早々遅刻だと思って……。」

声も普通の男の人より少し高く、とにかく眩しいほどに美しかった。

その美しい人は、俺の後ろにまたがり、俺の腰をぎゅっと掴んだ。同じ性別なのに、キュンとしてしまったが、とにかく遅刻を防ぐために、俺らは坂道を一気に下り始めた。

下っている最中、彼は話しかけてきた。

??「あの〜!!君はなんていう名前なの??」

「松村北斗って言います!!ちなみに六音(ろくね)第一中です。君は〜?」

大「京本大我〜!!ってか、北斗、六音第一なんだ〜!俺と一緒〜!!なんか縁を感じるね〜!」

それを聞いて、驚いてしまって、ブレーキをかけた。

大「うわっ!!どしたの!??」

「同じ中学校ってマジ?」

大「うん!俺は北斗のこと知ってたよ!有名だったからね!イケメンだって」

なんだそれ。ってか、それは京本の方だ。こんな目立つ容姿をしているのに、噂にすらなっていないのが不思議だ。

「やばい!!あと10分!!飛ばすぞ〜!!しっかり捕まってて〜!」

大「はいよ〜〜!!!」

もう、俺はこのとき、彼に恋をしてしまっていたと思う。

これから始まる高校生活が、輝きにみちていた。

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