第5話

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2021/04/30 06:32
 


私は昔は歌が大好きだった。













5歳の頃から毎週島外に歌を習いに行っていた。













更に中学校に入ってからは合唱部に入った。
















高峰 麻友先生
月乃は小さい頃から習ってるからね〜、基本的な発声ができてる。
高峰 麻友先生
みんなも部活外の時間にも月乃に教えて貰ったら、どんどん上手くなると思うよ!!



当時内気で、しょっちゅう島外へ出ていた事もあり、ほとんど友達のいなかった私だったけど、麻友先生の取り計らいのおかげで、みんなと話すきっかけができた。




















それからは学校の休み時間は本ではなく、毎日合唱部の友達と過ごすようになった。












小暮 花菜
月乃の声って綺麗だよね、どうしたらそんな綺麗な発声できるようになるの??
 


こういう部活の話はもちろん、






富田 楓
昨日の音楽番組、BLeeeeU出てたの見た?
白川 唄子
見た見た、声がいいよね〜!!



こういう世間話にも入れてもらえるようになった。














友達のいる生活は楽しくて、かけがえのない時間だった。

















それに私達は着々と実力を伸ばし、来年は3年生だし中学の部は最後。全国大会を目指そうと意気込んでいた矢先、高峰先生が結婚して海外へと飛び立ってしまった。




















その代わりに来た先生は辻村朝子先生。彼女は前まで強豪校にいた先生だった。だからみんな喜んだ。













だけど…















辻村 朝子先生
月乃!!!また声が飛び出てる!!!これはあなただけのステージじゃないの、みんなで創るの芸術なの!!
辻村 朝子先生
何度言ったらわかるの!!!!!唄子に声質を合わせなさい!!!
松本 月乃
はい。



辻村先生は私の声を嫌った。















だから他のみんなも私の声を嫌うようになった。










富田 楓
もう少し合わせられないの?先生に注意されたよね。
小暮 花菜
難しいならボリューム落とすとか…方法はあると思うよ!もしくはパート変えるとか...
白川 唄子
私達より先に歌始めてたからって、自惚れてるのかもしれないけど、正直月乃の声は邪魔。





こうなってからはまた誰も寄り付かなくなった。私はまた1人になった。部活のお荷物、いない方がいい存在になった。
































だから私は、歌を辞めた。部活を辞めた。島外へ習いに行くのも辞めた。



























その後私の抜けた合唱部は全国大会へ行った。

































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