私は昔は歌が大好きだった。
5歳の頃から毎週島外に歌を習いに行っていた。
更に中学校に入ってからは合唱部に入った。
当時内気で、しょっちゅう島外へ出ていた事もあり、ほとんど友達のいなかった私だったけど、麻友先生の取り計らいのおかげで、みんなと話すきっかけができた。
それからは学校の休み時間は本ではなく、毎日合唱部の友達と過ごすようになった。
こういう部活の話はもちろん、
こういう世間話にも入れてもらえるようになった。
友達のいる生活は楽しくて、かけがえのない時間だった。
それに私達は着々と実力を伸ばし、来年は3年生だし中学の部は最後。全国大会を目指そうと意気込んでいた矢先、高峰先生が結婚して海外へと飛び立ってしまった。
その代わりに来た先生は辻村朝子先生。彼女は前まで強豪校にいた先生だった。だからみんな喜んだ。
だけど…
辻村先生は私の声を嫌った。
だから他のみんなも私の声を嫌うようになった。
こうなってからはまた誰も寄り付かなくなった。私はまた1人になった。部活のお荷物、いない方がいい存在になった。
だから私は、歌を辞めた。部活を辞めた。島外へ習いに行くのも辞めた。
その後私の抜けた合唱部は全国大会へ行った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。