③
タクシーを降りると家の前に人影があった。
「あなた、」
お互い忙しかったのでLINEで終わらせることが多く
彼の声を聞くのさえも久しぶりだった。
家にあげて、ソファーに座ると床に座ったそら。
そら 「ごめん」
苦しそうに吐き出したその言葉はやっぱり会わない方が
良かったのかもしれないと、私の心をも苦しませる
その“ ごめん ”はどのごめん?
そら 「その、酔ってて、流れで、、でも、一瞬だし
すぐ離れたし、帰ったし。」
ここに来て、そんなに悪くないと正当化するの?
反省はしてるんだろうけど、彼の言い方が何処か
気に食わなくて益々イライラしてしまう。
『まず、なんで関根さんと飲みに行ってんの?』
そら 「恋愛相談したいから飲みに行こうってなって。」
『なんだそれ、まあいいや、で?
それを彼女にはアバハウスに泊まるって嘘ついて
帰ってこずにホテル泊まりですか。』
そら 「えいちゃんに聞いたの?」
『うん。帰ったって言われてもホテル泊まりとか
信じようと思っても信じられんよね。』
そら 「まじで手出てないし好きじゃないから。」
『路チューしといて手出してないとかどの口が言えんのよ』
だめだ。最早、許すとも思えなかった。
もうどうでもいい。いつから好きと思わなくなったんだろう。無関心とはこういうことかな。
そういや、好きの反対は嫌いではなく無関心だよって
誰かが言ってたっけ?別れた方がいいのかな。
これじゃ、関根さんの思うツボか。
でも、前みたいに一緒にいるだけでほんわかして
微笑ましくて幸せなんだなって思える時間がなくて
お互いあんまり会う努力もしなくて。
これが 終わり なんだなって。
『そら、もう別れよっか。』
一瞬目を見開いたそらだけど、何処か開放された顔をして
“ ごめん、好きだったよ。ごめんね、ごめん、、じゃあ、”
と言うだけ言って出て行った。
部屋に残された私も心の重しがすっと消えて
涙も出なかった。
ただ、本当に終わったんだな。
もうちょっと甘えたかったな。
もっと触れて欲しかったな。
付き合ってきた1年の日々はなんだったんだろう。
あぁ、やっぱり好きだったのかな。
無関心だなんて、会えなくて寂しい自分についた嘘だった。
薄い薄いその嘘の膜を破れば、沢山の好きが溢れ出て
なんだ、別れなくても良かったじゃん。
また選択間違った。
嘘に気づいた時には涙は止まらなくて。
結局、私は貴方にぞっこんだった。
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まさかのまさかでバットエンド。
また駄作かましてしまった。ごめんなさい!!
バイトやらで忙しくてなかなか書けてなかった…!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。