目が覚めるとギシギシとした簡易ベットの軋む音がした。
そして周りにはカーテンが張られていて、カーテン越しにシルエットが見える。
カーテンがシャーと開く。
目の前の保健室の先生もとい竹橋先生は泣いていた
まず最初にその言葉が出た。
先生はわざとなのか明るい言い回しで話してくれた。
先生の優しさと、さっきの出来事の恐怖の感情で心がぐちゃぐちゃになって涙が滲んできた。
先生に背中をさすられながら赤子のように思い切り私は泣いた。
先生はこの部屋から出ていった。
私はベッドを降り、棚から着替えの入ったカバンを取った。
ふと棚の横に鏡があるのが見える。
私は自分の体をまじまじと見る。
この日のために買った真っ白なレースの水着。それが場違いな格好に思えてくる。
手首の辺りを見ると、真っ赤に色濃く手を掴まれた跡があった。
跡を見ると涙が出そうになる。
その跡が一生消えないんじゃないかと思ってしまう。
こんな事になるなら自分の容姿を鼻にかけなければよかった。
と、1人で後悔をする。
とりあえずベッドに戻り元着てたワンピースに戻る。
けど、手首の跡は見えたまま。
だから私は、一先ず先生から借りたパーカーを羽織った。
私はずっと泣いた。
恐怖と申し訳無さと怒りで。
そんな感情はやめろと言わんばかりに勢いよく扉が開いて、誰かが入ってきた。
カーテンを締めていたため誰かわからなかった。
その声だけでわかった。
私の救世主だ。
だけど今は合わせる顔はない。
こんなに、最低な彼女なんだから。
シーツに一粒、一粒と雫を垂らしながらそう言う。
そう言うのと同時にカーテンが開かれた。
澄晴も私服に着替えていた。
その言葉を何回も繰り返す。
オルゴールのように繰り返すことしかできない。
その時手にぬくもりが伝う。
暖かくて優しくて大きい手。
あぁ、やっぱり。
やっぱり澄晴じゃなきゃだめだ。
真っ直ぐで、優しくて泣きそうな目でこちらを見てくる。
でも、ごめんなさい。
手首を自然と捲る。
この跡を見ると恐怖が蘇る。
そのセリフを言おうとした時、抱きしめられる感覚があった。
声だけでもわかる程、澄晴も泣きながらそう言った。
雰囲気ぶち壊れのためわんく
そろそろ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。