結局私が根負けして、一緒にお化け屋敷に行くことになった。
けど!
やっぱり、怖いもんは怖い!
澄晴の腕をガシッと掴みながら私は奥の方に進んでいった。
そう自分に言い聞かせつつも、出だしからすごく怖い。
足元の砂?みたいなのはいちいち音をたてるし、照明は薄っすらと点滅してるし、埃には手の跡とかあるし、ほんとにこれ現実?
すると2つの扉が目の前に出てくる。
片方には絶望の間、片方には疑念の間と書かれていた。
そう言うと澄晴は絶望の間に進んだ。
なんかやけにずかずかと。
もしかしてだけど、ホラーは怖くないタイプの人間なの?!
そう思いつつも絶望の間に入ると、さっきの暗さは生温いほど、真っ暗だった。
カタカタと奇妙に鳴る音、風が窓にぶつかる音、おそらく先に進んでる人達の悲鳴、本当に絶望感を感じる。
数歩出ただけで、腰が抜けそうな勢いでビビってた。
ビビりながらもゆっくりと前を進むと、後ろから一際大きなガタッとした音がした。
つい、音の方を振り返ると目の前には首吊りロープに括られた人形が無数にあった。
私が必死に澄晴に恐怖を訴えかけているのに、等の本人ときたらめっちゃケタケタ笑ってるし何なの?!
そのまま半ば強制的に進むと少し広めのエリアに出てきた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!