第3話

サノレオ
2,845
2018/11/17 12:41
それから入学式が行われた。


私達は入学式には参加しないからそのまま下校。


だから、私がカバンを片付けている時


はなが私の横にやってきた。
はな
あなた!帰りに駅前のカフェ寄らない?
あなた

え、行く行く!

あそこのカフェ混んでてなかなか入れないんだよな。


けど、今日は平日だから空いてるかな…
亜嵐
え、俺も行きたい。
隣から聞こえた声。
はなの顔は嬉しそうにニヤニヤしちゃって。
はな
うん!いいよ!
あなた

女子かよ。

亜嵐
今日だけ女子になる。
顎の下に両手を持ってきてうふって。


右足を曲げて可愛こぶってる。


亜嵐、目ぱっちりしてるから女装しても可愛いと思う。


負けそう…
実は、私とはなと亜嵐は1年生の時からの友達。


ずっと一緒に過ごしてきた。


だから、みんなからは認証済みで何も言われなくなった。


そら、亜嵐はカッコイイしモテるから


最初私達は凄い言われた。
けど、だんだん定着してきて今に当たる。
あなた

混んでるかなぁ。

はな
どうだろ。わかんないね。
3人で廊下を歩く。


集められる視線。
あなた

なんか凄い見られてない?

はな
うん、思った。
亜嵐
なんだ?
周りにいるのは恐らく一年生だろう。


二年生にイケメンがいるとでもなったのか。
女子達は目を輝かせている。
亜嵐
何かあったの
いやいや、貴方だよ。


みんな亜嵐に惹かれてここに居るんじゃない。
はな
わかんない。
はなも。


気づきなよ。


好きな人が狙われてるよ!?


いいの!?
ほんとに。困ったカップル(仮)。
あなた

亜嵐じゃないの?

亜嵐
え、俺?
あなた

え、ほんとに気づいてなかったの!?

亜嵐
何に気づくの。
この人なんで普段は自分の事 イケメン とか


言ってるくせにこういう時にわかんないの。
あなた

みんな亜嵐に興味があるんだと思うよ。

亜嵐
え、そうなの!?
と言うと一年生がいる所に入っていって


黄色い歓声が響き渡る。
はな
も ~ 、私の亜嵐。
頬を膨らまして亜嵐を見つめるはな。


めちゃ可愛いじゃん。
あなた

早くしないととられちゃうよ。

はな
だって勇気が出ないんだもん。
そんな亜嵐をとりあえず置いて着いた玄関。
やはり、人は多く混雑。


人口密度も多くて最悪。
あなた

混んでるね。

はな
早く靴履いてよね。
あなた

だね。

前の方の人が靴を履くのを待って並び続けた下駄箱。


やっと外の新鮮な空気が吸えた…
あなた

もう、嫌だ、あの中。

はな
体に悪い…
この子ほんと面白い。


こんな可愛い顔してるのにこんなお母さんみたいな


ことを言うんだから。
亜嵐を待っていると走って私とはなの方に走ってくる。
亜嵐
ごっめ ~ ん!
あなた

何浮かれてんの。

亜嵐
あ、千夏ちゃんって子から
LINEのID貰っちゃった!
と言って見せてきた綺麗に折りたたんだメモ帳。
はなの顔はムスッとした。
はな
だれ、千夏ちゃんって。
亜嵐
一年生だって。
はな
亜嵐、その子が好きなの?
亜嵐
顔は普通に可愛かったし告白されたら
揺ら揺らしちゃうかも。
なんて多分、冗談半分で言ったつもりの亜嵐だけど


そうとは捉えないはな。
はな
なにそれ、軽っ。
いつものはなじゃなくなってしまって
はな
今日はあなたと二人で行く!
亜嵐は今日だめ!
私の腕にしがみついて離さない。


こりゃ、相当怒ったみたい…
亜嵐
え、なんで
はな
だ、ダメったらダメ!
亜嵐
俺も行きたいんだけど!
はな
今日はダメなの!
あれま。


喧嘩状態。


どうすんのこれ。


いつも仲直りさせるの私なんだけど…


ほんと勘弁してよ…
あなた

はいはい、仲直りして。

はなと亜嵐の手を取って握手させるのが


いつもの恒例な仲直り。
けど、今日は違う。
いつもみたいにはなと亜嵐の手を取って握手させようとしたら
両方、私の手を振り払った。
あなた

え?

亜嵐
意味わかんねぇ。
はな
こ、こっちのセリフ…だしっ…!
完全に切れた両者。


亜嵐は理由も分からず今日はダメと言われて


怒ったんだろうな。


そして、はなは亜嵐の軽い態度に嫉妬と怒りを


覚えたんだろう。


ちょっと怖がってる。


だいたい、予想つくけど…
亜嵐
わり、あなた。
当分お前らとは行動しねぇ。
あなた

え、それは嫌だよ!

はな
私も亜嵐となんか行動しないし。
あなた

はなっ、

亜嵐
それは俺も同じだわ。
はな
知らないもん。
やばいやばい。


ガチじゃん…
あなた

ねぇ、仲直りし…

亜嵐
うるさい
はな
うるさい!
はい、撃沈…


両者からの一撃をくらいました。
はなは今日一人で帰るらしく…


亜嵐もほかの友達と帰るとか…
え、私一人じゃん。
まぁ、仕方ないか。


あの二人のことだから明日になったら


ケラケラ笑って仲直りしてるだろうな。
遠く離れていく二人の背中を見送って私はある事に気づく。
あなた

あ、忘れ物…

大事な携帯がカバンの中に入ってないことに


気づいた。
慌てて校舎に入る。


もう、下駄箱にいるのは数人で
さっきとは大違い。
あなた

急げっ…

走って教室に着いた。
あなた

あったあった…

窓から来る夕日の光が携帯の画面に反射する。
今日の夕日は格段にすごくて綺麗。
1枚パシャ…と撮って急いで下駄箱に。
はぁ、はぁ。


もう、そんな息切れしてる…?


歳とったなぁ。
自分の靴箱を開けて靴を取り出し地面に置いた。
あなた

はぁ…寒っ。

4月序盤。


まだまだ、肌寒くて暖かいには程遠い。
靴を履いて一歩踏み出した時。
横に見た事のある…
あなた

あ…

1年生
あ…
目が合ってしまった。


絶対もう会わないと思ったのに…
1年生
あの、
相手が話しかけてきてびっくりした。
あなた

はい…

1年生
先輩だったんすね。
あなた

はい。

1年生
俺、佐野玲於っす。
あなた

サノレオ…?

玲於
玲於でいいっす。
あなた

あ、はい…?

え、意味わかんない?


なんか急に顔見知りの枠に入った感じ?


名前も知っちゃったし


無視するにも出来ないじゃん?
玲於
先輩は?
あなた

え?

玲於
名前。
そう言う彼の背後は夕日のオレンジが重なっていた。
あなた

綺麗…

手に持っていた携帯を彼にかざして一枚。
見返すとやっぱり綺麗で─────
玲於
盗撮。
あなた

え!?

玲於
勝手に撮りましたね。
あなた

いや、あ、これは…その…

玲於
先輩、面白いっすね。
あなた

へ…?

じゃ。 って昇降口から出ていった。


なんだ。


アイツ。


生意気だ…
あなた

玲於…ね。

携帯にオレンジの背景とともに映る彼を


握りしめて呟いた。

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