猛ダッシュで階段を駆け上がる今。
顔もひどい。
髪もボサボサ。
息も荒い。
この3点が揃う中ついに到着した教室。
見渡せばまだ席に着いていない人もいてセーフ。
亜嵐とはなを探すと二人で話してて…
あ、いい感じ…
と思いきや私が机に足を引っ掛けちゃって
気づかれちゃった…
仕方ない。
私は自分の机に頬を当てて冷たさを感じた。
急に食いついてくる亜嵐。
なになに、怖いよ?
はななら 「最低 ~!」とか「意味わかんない」って
言って反抗してくれると思ったら
って、納得してんの。
ちょっとちょっと、奥さんどういうことかな?
確かに、私はあまり初対面の人は好まない…
どんな人かもわからないし…
初めはいいなって思って仲良くなったら実は
凄い悪口を言う人だったり…
私はそれを体験してきたからこそ言える。
でも、玲於にはあまり警戒心を持たなかった。
逆に玲於の本性が気になった。
すると、はながハッとした顔で私を見た。
まぁ、そこがはならしいんだけど。
覚えておいて欲しかった…なんて。
なんか亜嵐が凄い心配してくれてるんだけど…
違和感だ。
いつも変なことしか言われないのに。
すると数学の先生が入ってきた…
この人、片寄涼太先生。
先生の中でも絶大な人気をもつ。
今まで立ち歩いていた女子達も
目をハートにして座り出す。
確かに…イケメンだけど…
一番後ろから眺めていると目が合ってしまった。
すぐ、逸らしてもう一度見るともう私を見てなかった。
腕を机の上で組んでその上に顔を乗っけた。
廊下を通して見えるのは向こうの教室。
確か…音楽室。
どこかのクラスが使用している。
目を凝らして見てみると…
玲於を見つけた。
玲於が友達と話しているところ。
私と居る時は愛想悪く話したり時に笑ったり…
コロコロ変わるのに…
友達と居る時、今はすごい笑顔。
やっぱ友達って凄いな…
顔の向きを変えてはなと亜嵐の方を見ると
仲良さそうに話してるし…
ほんと近い席が良かった…
くじ運悪すぎ…!
てか、授業始まんないの!?
もう一度伏せて音楽室の方へ目を向けると
玲於がこっちを見ていた。
ちょっと驚いた。
こっち見て何か呟いているし。
え、玲於数学得意なんだ…
意外。
国語とか得意そう。笑
そう言うと教室に片寄先生が帰ってきた。
授業始まる。
玲於の方を見ると何か言っているけど
もう始まるから後で…と思い前を向いた。
片寄先生はとてもわかりやすい。
分からなかったら1から教えてくれる。
私、数学大の苦手。
だからお世話になっている。
最後の問題。
これが解けないと呼び出しくらう。
頑張らないと…!
必死にペンを動かして呼び出しされないように頑張った。
つい、大きな声で言ってしまった…
めっちゃ見られてるし…
王子スマイル。
わ。
これが噂の…ね。
号令がかかってみんな礼をする。
それから休み時間に入る。
疲れた…
また、ノート出さなきゃだし。
もう、ピンされて返ってくるわ。
教科書を片付けていると
急に亜嵐が私に笑いかけた。
一瞬、ドキッとした
まぁ、ほんとは亜嵐だけど。
私の性格が出た。
何考えてんだか。
呆れているとはなの様子が変だ。
何も無いような顔には見えなかったけど…
亜嵐とはなは私の横と前の席に座る。
そう言った時、はながビクッとした。
やっちゃった…
聞くべきじゃなかった…
拒否った時。
え…?
はな?
はな!
めっちゃ棒読み…!
そゆとこ。
ってはなと声が揃った。
亜嵐は
はもんなくていいじゃん ~!
って笑ってる。
その時。
最近、聞き慣れてきた声。
亜嵐の頭にクエスチョンマークがいくつか見える。
それ以上言うな。と目で訴える。
それを悟った亜嵐は黙った。
なに、ダメだった!?
それから私と一切目を合わせようとしないし…
耳赤くなってるし?
どうした?
じゃ。とそれだけ残して帰ってしまった。
最後その事だったのか!
わ ~ 、聞いてちゃんと断ればよかった…!
はなが何かを思い出したような顔をする。
私ははなから聞いて言葉をなくした。
どゆこと?
ご、5人…?
私の一生かけても浮かび上がらない数字…!
モテてんじゃん!!
これ、やばい?
私ピンチ?
確かに。
最近、多いなって感じていた。
その原因が私にあったなんて…!!!
あぁ、どうしよ。
最近、亜嵐の私に対する態度がちょっと変わった。
今までそんな心配とか無かったし…
むしろ、貶されてたよ?
ほら、目を逸らす。
はなと目が合って私が両手と肩をクイってあげた。
それと同じようにはなもする。
よくわかんない。
男って。
大丈夫だって。
何も起こらないから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!