第6話

昇降口で
2,613
2018/11/18 13:47
猛ダッシュで階段を駆け上がる今。


顔もひどい。


髪もボサボサ。


息も荒い。


この3点が揃う中ついに到着した教室。


見渡せばまだ席に着いていない人もいてセーフ。


亜嵐とはなを探すと二人で話してて…


あ、いい感じ…


と思いきや私が机に足を引っ掛けちゃって
あなた

わあっっ!

はな
どうしたの!?
あなた

猛ダッシュ…した…

亜嵐
荒れてんねぇ。
あなた

疲れた…

気づかれちゃった…
仕方ない。


私は自分の机に頬を当てて冷たさを感じた。
亜嵐
遅くない?
あなた

ちょっと…ね。

はな
なに、絡まれた!?
あなた

いや…ん ~ 、絡まれたっちゃ絡まれた。

亜嵐
誰に!
急に食いついてくる亜嵐。


なになに、怖いよ?
あなた

後輩…

亜嵐
なんか最近、後輩絡み多くない!?
あなた

だね。

はな
おぉ、新学期始まったと思いきや…
あなた狙われてんじゃん ~!
あなた

狙うとかじゃないと思う!
ただ、なんか面白がられてる?的な?

はななら 「最低 ~!」とか「意味わかんない」って


言って反抗してくれると思ったら
はな
あ、確かに。
って、納得してんの。


ちょっとちょっと、奥さんどういうことかな?
はな
あなたの事面白がれるって相当な子だよ。
あなた初対面の人には心開かないじゃん。
あなた

まぁ…うん。

確かに、私はあまり初対面の人は好まない…


どんな人かもわからないし…


初めはいいなって思って仲良くなったら実は


凄い悪口を言う人だったり…


私はそれを体験してきたからこそ言える。
でも、玲於にはあまり警戒心を持たなかった。


逆に玲於の本性が気になった。
亜嵐
もしや、あの睨んだ子だったりして!
あはっ!まさかそれはないか!
あなた

その子。

亜嵐
え!!
あなた

もう無視できないし…はぁ。

亜嵐
名前知っちゃったけい?
あなた

佐野玲於…だって。

すると、はながハッとした顔で私を見た。
はな
その子どっかで聞き覚えがある。
あなた

そうなの?

はな
うん。どこかは忘れちゃった!
まぁ、そこがはならしいんだけど。


覚えておいて欲しかった…なんて。
亜嵐
男なら気をつけないと!
あなたどちらかといえば!美人なんだから。
あなた

おい、強調すな。

亜嵐
でも、一応男だから。
何するかわかんないからね。
なんか亜嵐が凄い心配してくれてるんだけど…


違和感だ。


いつも変なことしか言われないのに。
あなた

分かった。

すると数学の先生が入ってきた…
片寄涼太
はい、座って。
授業始めますよ。
この人、片寄涼太先生。


先生の中でも絶大な人気をもつ。
今まで立ち歩いていた女子達も


目をハートにして座り出す。
確かに…イケメンだけど…
一番後ろから眺めていると目が合ってしまった。
あなた

やべ…

すぐ、逸らしてもう一度見るともう私を見てなかった。
あなた

あっぶな。

腕を机の上で組んでその上に顔を乗っけた。


廊下を通して見えるのは向こうの教室。


確か…音楽室。


どこかのクラスが使用している。
目を凝らして見てみると…
あなた

あ。

玲於を見つけた。


玲於が友達と話しているところ。


私と居る時は愛想悪く話したり時に笑ったり…


コロコロ変わるのに…


友達と居る時、今はすごい笑顔。


やっぱ友達って凄いな…
顔の向きを変えてはなと亜嵐の方を見ると


仲良さそうに話してるし…


ほんと近い席が良かった…


くじ運悪すぎ…!


てか、授業始まんないの!?
あなた

ねぇ、授業は?

吉田くん
あ、先生忘れ物したって。
あなた

あ ~ 、そゆこと。

もう一度伏せて音楽室の方へ目を向けると
玲於がこっちを見ていた。
あなた

わっ、

ちょっと驚いた。


こっち見て何か呟いているし。
あなた

「 な に 」

玲於
「 つ ぎ な ん で す か 」
あなた

「 す う が く 」

玲於
「 い い な  」
え、玲於数学得意なんだ…


意外。


国語とか得意そう。笑
あなた

「 よ く な い よ 」

そう言うと教室に片寄先生が帰ってきた。
片寄涼太
みんなごめんね。
はい、授業始めます。
授業始まる。


玲於の方を見ると何か言っているけど


もう始まるから後で…と思い前を向いた。
片寄先生はとてもわかりやすい。


分からなかったら1から教えてくれる。


私、数学大の苦手。


だからお世話になっている。
最後の問題。


これが解けないと呼び出しくらう。


頑張らないと…!
必死にペンを動かして呼び出しされないように頑張った。
片寄涼太
はい、辞めてください。
今日はここまでです。
あなた

疲れたぁぁ!

つい、大きな声で言ってしまった…


めっちゃ見られてるし…
片寄涼太
お疲れ様。
王子スマイル。


わ。


これが噂の…ね。
あなた

ど…ども ~ 。

号令がかかってみんな礼をする。


それから休み時間に入る。
疲れた…


また、ノート出さなきゃだし。


もう、ピンされて返ってくるわ。
教科書を片付けていると
はな
あなたどうしたの、大きな声出して。
あなた

あ、つい…笑

亜嵐
お疲れ様。
急に亜嵐が私に笑いかけた。


一瞬、ドキッとした
あなた

うん…?

亜嵐
どお?
どっちが好み!?
あなた

え ~ 、先生。

まぁ、ほんとは亜嵐だけど。


私の性格が出た。
亜嵐
なんだそれ!
先生より…下だと…!?
あなた

普通に考えてそうだから。

亜嵐
まじ!?
あなた

うん。

何考えてんだか。


呆れているとはなの様子が変だ。
あなた

はな?

はな
え、あ?なに?
あなた

どうした?

はな
ううん?
何も無いよ?
あなた

うん…?そっか。

何も無いような顔には見えなかったけど…
亜嵐とはなは私の横と前の席に座る。
亜嵐
なぁ ~ 、俺のどこがいけないと思う?
あなた

何急に、好きな人でもできた?

そう言った時、はながビクッとした。
やっちゃった…


聞くべきじゃなかった…
あなた

やっぱいい!
言わなくていいから…

拒否った時。
はな
誰なの?
え…?


はな?
亜嵐
誰かは言えないけど…一応いるよ?
はな
へえ、そうなんだ。
はな!


めっちゃ棒読み…!
亜嵐
そいつ意外と鈍感でさ
ひょいひょいついて行かないか心配でよ ~ 。
あなた

そんなの、守ってあげればいいじゃん。

亜嵐
え ~ 、恥ずかしいじゃん。
あなた

そんなこと言ってちゃ、恋人も出来ないわ。
ね?はな。

はな
そうだそうだ!
亜嵐
え ~ 、亜嵐ちゃん恥ずかしがり屋だから。
そゆとこ。


ってはなと声が揃った。


亜嵐は


はもんなくていいじゃん ~!


って笑ってる。
その時。
















玲於
あ、いた。



















最近、聞き慣れてきた声。
あなた

玲於…

亜嵐
玲於?
亜嵐の頭にクエスチョンマークがいくつか見える。
あなた

あの言ってたじゃん、後輩って。

亜嵐
あ ~!
あの目つ…
それ以上言うな。と目で訴える。


それを悟った亜嵐は黙った。
玲於
俺のこと話したんですか?
あなた

まぁ、ね。

玲於
そうですか。
なに、ダメだった!?


それから私と一切目を合わせようとしないし…


耳赤くなってるし?


どうした?
あなた

で、なに?

玲於
あ、放課後付き合って貰えませんか?
あなた

だから、放課後は用事か…

玲於
さっき伝えれなかったから…
昇降口で待ってるんで。
じゃ。とそれだけ残して帰ってしまった。


最後その事だったのか!


わ ~ 、聞いてちゃんと断ればよかった…!
亜嵐
あれが…佐野玲於?
あなた

うん。

亜嵐
かっこいいじゃん。
随分と積極的で…
あなた

まぁ…うん。

はな
あ…
はなが何かを思い出したような顔をする。
あなた

ん?

はな
あの人…!
亜嵐
なんだよ!
はな
Twitterで話題になってた。
入学早々5人に告られたって。
あなた

え…?

私ははなから聞いて言葉をなくした。


どゆこと?


ご、5人…?


私の一生かけても浮かび上がらない数字…!


モテてんじゃん!!


これ、やばい?


私ピンチ?
はな
だ ~ か ~ ら ~ か ~ 。
最近、一年女子がここら辺を
うろついているのは。
確かに。


最近、多いなって感じていた。


その原因が私にあったなんて…!!!


あぁ、どうしよ。
亜嵐
あなた、危ねぇじゃん。
あなた

はい、ピンチです。

亜嵐
今すぐ離れた方がいいんじゃね?
何されるかわかんないよ?
玲於って子にもそのファンにも。
あなた

そ、そうだけど…どうした?
そんなに熱くなっちゃって。

最近、亜嵐の私に対する態度がちょっと変わった。


今までそんな心配とか無かったし…


むしろ、貶されてたよ?
亜嵐
いや…別に。
ほら、目を逸らす。


はなと目が合って私が両手と肩をクイってあげた。


それと同じようにはなもする。


よくわかんない。


男って。
亜嵐
とにかく!危ないから
ちゃんと俺らに言うように!
わかった!?
あなた

は ~ い!

大丈夫だって。


何も起こらないから。

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