第10話

ゲームセンター
2,422
2018/11/26 13:29
吉田くん
間に合った ~ 。
ちょっと息を切らして戻ってきた吉田くん。
あなた

遅かったね。

吉田くん
彼女が離してくれなくて。
あなた

愛されてるねぇ!

吉田くん
そうかな。
無言で教科書を準備し出す。


前の教卓には片寄先生。


数学だ。
片寄涼太
はい、授業始めます。
カチッと眼鏡をかけ直す姿にほぼの女子はイチコロ。


私は…うんって感じだけど。
吉田くん
ねぇ、悪いんだけどさ…
教科書忘れたので見せてください…!
膝に手を置いて俯き加減で言った。
あなた

あ、うん?
大丈夫だよ?

吉田くん
ほんと!助かる!
離れている机をお互いくっつけて教科書を


共有し合えるようにする。
何気に初めてかもしれない。


高校入って人に教科書を貸したこと。


机をくっつけて見せ合いっこしたこと。


漫画みたいなシチュエーションで動揺する。
たくさん、話しかけてくるのかと思っていた吉田くんは


黙々と先生の言うことをメモして授業を聞いている。
私のノートはと言いますと…
あなた

しろっ…

課題と問題が書いてあるだけ。


5問あるのに、2問までしか進んでないし…!


ここ結構難しいから私には──────────
吉田くん
わかんない?
さっきまで静かだった吉田くんが


急に話しかけてきてびっくりした。
あなた

あ ~ 、うん。
数学苦手だから…

吉田くん
そうなのね。
あなた

吉田くん得意?

吉田くん
少なくとも学年上位にはいるかな。
サラッと言った吉田くんの言葉にびっくり。


学年上位!?


それって、凄くない?
あなた

え、

吉田くん
なに、そうには見えなかった?
あなた

うん…

吉田くん
新川さんって正直だね。
あなた

あ、ごめん…

吉田くん
い ~ え 。
なら、教えるから見てて。
あなた

ありがと。

吉田くん
教科書のお礼だよ。
そう微笑む吉田くん。


顔も良くて頭もいいし運動神経もいいなんてそんな


羨ましすぎる三拍子はあるのですか。
スラスラと私が言葉にできない単語達を


口にして話していく。


そのおかげで、今まで解けなかった問題も解けた。
あなた

すごい!解けた!

吉田くん
上達したよ。
あなた

うん!ありがと!

吉田くん
い ~ え 。
と言うとペンを持ってまたノートに書き出す。


もう、終わってるんじゃないの?
私は自分の問題をもう一度見直していると


肩を叩かれた。
吉田くんでジェスチャーで私に 手出して って


訴えてくる。
左手を差し出すと上に置かれたのは一枚の紙。
開くと 090…と携帯番号が書かれていた。
あなた

吉田くんの?

吉田くん
うん。
あなた

あ、ありがと…

吉田くん
あと、智也でいいからね。
あなた

分かった。
智也…くん…ね。

一気に吉田くん…あ、智也くんと仲良くなった気がする。


そして、放課後。

あなた

お待たせ!

玲於
いえ!
玲於の待つ玄関へと急いだ。
あなた

やっぱ寒いね ~ 。

玲於
カイロ持ってるんですか?
あなた

当たり前。

ポケットからあったまったカイロを出して


玲於に見せる。
玲於
俺も持ってこようかな。
あなた

持ってきなよ!
でももうすぐ寒いのは終わっちゃうけど。

玲於
まぁ…ですね。
あ、デートってどこ行くんだろ。
あなた

ねぇ、デートどこ行くの?

そう言うと玲於は振り向いて
玲於
ゲーセン行きたい…
あなた

ゲーセン?

玲於
楽しいかなって。
玲於、ゲーセンとかめっちゃ似合いそう。


ちょっと写真に収めたい気もする。
あなた

全然いいよ。

行きましょ!って私の手を繋いで歩く。


2回目。


こうやって繋いで帰るのは。
玲於の手は丸くてクリームパンみたい。
私がキュッてするとキュッて返してくる。


それがちょっとおもしくて何度もやった。


すると、ちょっと私をチラ見して優しい睨み。


その後に前向いてニヤニヤしている。
玲於
わ、久しぶり…!
余程久しぶりなゲーセンなのかちょっと興奮気味。
あなた

たくさんとるぞ。

玲於
俺、超得意なんで。
あなた

嘘だ。

玲於
なんで嘘つくんすか。笑
あなた

だって出来なさそうだから。

玲於
まぁ、信用ないなら実際やって見ます。
玲於はキョロキョロし出した。
玲於
あなたさん、やって欲しいものあります?
あなた

え、あ…う ~ んと…!
あれ!あのぬいぐるみ!

私が指さしたのは


黄色い髪の毛が特徴的で四角い眼鏡をかけた


人の形の人形。


UFOキャッチャーのガラスには メン…?


そんなようなことが書いてあった。


きっと、人気があるんだろうな。
玲於
え、あなたさん趣味悪いっすね。笑
あなた

え!

そんな…


私、そんなセンス無いか…!?


結構可愛いって思ったのに…
玲於
嘘です。
と言って100円を1枚入れた。


そして、音が鳴りだしてアームがゆっくり動く。
あなた

ほんとに取れるの ~ ?

玲於
まぁ、見ててください。
得意気に笑う玲於の顔は小学生にしか見えない。
と思ったら、アームはほんとに取れるのか


心配になる所にいった。


私が声を出す瞬間に玲於はアームを下ろした。
あなた

ねぇ、絶対無理だよ!

玲於
無理じゃないです。
玲於の言葉を信じて動き出すアームを見つめる。
すると、私が選んだ人形は徐々に浮き
玲於
ほら。
と、私の手元にやってきた。
あなた

ほんとだ…

玲於
やっと信じてくれました?
あなた

も、もちろん…!

すご…


初めてだ。


間近ですんなり取れる人を見たの…
玲於
嬉しい…?
あなた

うん!嬉しい!
ありがと!玲於!

そう言うと玲於はそっぽを向いて頭をかく。
玲於
その顔…反則っすよ…
あなた

え?

玲於
あなたさんのその顔。
俺以外に見せないでくださいね?
危険危険 って歩き出す。


そんな変な顔してた…?


…玲於最低…!
あなた

変な顔してたからって
そんなはっきり言わなくても良くない!?

そう玲於に言うと驚いた顔で私を見てくる。
あなた

な、なに!?

玲於
あなたさん、馬鹿なんですか。
あなた

はぁ!?

玲於
俺が言うあなたさんの顔は変じゃなくて…
あなた

なに。

そう言ってもなかなか玲於はこたえてくれない。


もう、なんなの。
あなた

ねぇ、なに?

玲於
可愛いから…可愛すぎるんすよ。
白い肌はどんどん赤く染っていく。
あなた

え?

玲於
だから、俺以外に見せないでくださいねってこと。
なんだ…ちょっと恥ずかしいじゃん。
あなた

そうならそうってはっきり
言ってくれればよかったのに!

玲於
それは謝ります…すみません。
頭を下げてくる。


そういうことじゃないのに…


ん ~ 、あ!


プリ撮りたい。
あなた

なら一緒にプリ撮ろ?

玲於
え?
あなた

プリクラ

玲於
あ ~ 、あの詐欺る…
あなた

玲於撮ったことあるの?

玲於
過去に何回か…
そっか、玲於も彼女いた事あるよね。


そりゃ、そうじゃん。


私が初めてなんかじゃない。
あなた

なら、話は早い!
ほら行くよ ~ !

玲於から貰った人形を右手に抱えて


玲於の手と私の手を絡めた。


私から。
プリ機に入るとちょっと緊張…


二人っきりとかはなとしか撮ったことない…
あなた

玲於、盛れそう。

玲於
めっちゃ目大きくなりそう…
怖い って。


それ、めっちゃいい事だから。


それを知らないから言えることだよね。
あなた

あのね、目がおっきくなるって
JKでは物凄く羨ましいことなのね。
だから、気安く他の女子の前で言わない方が
いいと思うよ!笑

忠告忠告…
玲於
マジっすか。
でも、それはないと思います。
あなた

え?

玲於
俺、ほかの女子と来ないんで。
あなたさんだけ。
画面に出ている盛れ度を設定しながら言った。


私の胸は高鳴る。


サラって言えちゃうんだ…
あなた

私のこと相当好きだね。玲於。

なんて冗談半分で言ったのに
玲於
はい、大好きっす。
笑顔で私に言った。
あなた

そ、そういうことはっきり言わないで…

玲於
え?
いわれる身にもなってよ!


って言うと
玲於
なら、言ってくださいよ。
言われる身になりますから。
あなた

は!

玲於
あなたさんが言ったんですよ?
言われる身にもなれって。
あなた

そ、そうだけど…

玲於
嫌ですか?
あなた

嫌とかじゃなく…その…

ただ、恥ずかしいだけ。


私ほんとそういうの経験少ないから慣れない。


恥ずかしい。


その一言に尽きる。


玲於は私から目を離さず私を見つめてくる。


う ~ 。


その目反則。
あなた

も ~ 、分かった分かった。

私は緊張する心を抑えて玲於の目を見つめる。
それに玲於も私の目を見つめて待つ。
あなた

す……すき…

その途端、私の視界は暗くなって暖かい温もりに包まれた。
あなた

へ…?










パシャ…












丁度プリクラのシャッターが鳴った。
玲於の胸の中にいるのは把握。


何故か今日は玲於にドキドキさせられっぱ。
私から離れた玲於の顔は優しい顔。
玲於
俺の事ちゃんと見てくれてますか?
あなた

え…?

玲於
前より…俺の事意識してくれました?
そんなの…しないように意識する方がおかしいし。


意識できないわけがない。
あなた

そりゃ…まぁ。

玲於
ありがと…あなたさん。
大好きです。
白い歯を見せて目を細める笑顔は私には毒なのかもしれない。

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