あなたさんを送ってから妙に気になる。
LINEの通知が止まらない。
見ると そら。
さっきから鳴り止むことなく響く通知。
内容は
" 玲於。助けて。"
" お願い… "
" 死んじゃう… "
なんだよ。
死ぬって。
そうやって言って俺を呼ぼうってか?
「嘘言うなよ。」
そんな軽い言葉で済ませてしまった。
「嘘じゃない!本当!このままだと私死ぬ!」
俺ばっかに甘えるなよ…
俺は電源を切ろうとした時。
ピロン
あなたさんからLINEが来た。
いつもなら嬉しいはずのLINEだが喜べる
気力も無くなっていた。
「ごめん」
あなた「別に、大丈夫。」
「何かあった?」
あなた「明日の予定聞こうと思って。」
あぁ…
明日、土曜日じゃん。
もう、2日…
さっきまで話していた会話がもう1週間経った気がする。
はぁ、会いた。
あなたさん…
さっきまで握っていたあなたさんの手の温かさが
今になって蘇ってくる。
暖かくて小さくてぷにぷにしている。
触ってて飽きない。
そんな中、鳴り響く通知。
うるさくて電源を落とした。
あなたさんの家から近くの公園。
ブランコ、滑り台、鉄棒とほかの公園と変わらない
素朴な公園。
ここは、なんだか落ち着く。
一人になって悩んでることがぱっと忘れることが出来る。
脳が綺麗に変わっていくみたい。
すると。
俺の昔っから聞き慣れた声。
怖い。
あなたさんが隼に取られるとか考えただけで
寒気止まらねぇ。
でも…
俺は所詮、1週間。
1週間だけ俺のあなたさんなんだ。
もう、終わる。
あなたさんは、俺の事を好きにならず終わる。
はぁ、辛。
分かってる。
隼が言いたいことぐらい。
自分が決めたこと。
守らなくてどうする。
そっか。
ってそれ以上何も聞いてこなかった。
なんとでもいえ!
俺は、ただあなたさんが…
俺らはそこで解散。
俺の家に歩いている時。
泣きながら俺に向かって走ってくる。
何があった。
俺に抱き着いて泣き出す。
殴る仕草をするそら。
だから、助けを求めに来たのか…?
なんで俺なんだ。
ボロボロに泣いたそらの顔が俺を動かした。
そらの手を取ってそらの家に走った。
.
そらの家に着くと
お母さんの悲鳴が玄関まで響いている。
は…?
この親は何言ってんだ?
ちゃんと育ててきた?
嘘つけ。
そら、今泣いてんぞ。
そらに気づいたお母さんが
お父さんもこちらを向く。
俺に気づいた。
帰れ と一言残し、お母さんに襲いかかろうとした。
この親達、馬鹿じゃない。
二人の手が止まって俺に視線がささる。
その つもり でどれだけそらが苦しい思いしたか。
ボソッと呟いた。
大きな目から涙をボロボロ落とすそらに
目線を外せない親達。
お母さんはそらの顔を撫でて ごめんね って
数え切れないほど謝って
お父さんは 悪かった って反省。
外まで送ってくれたそら。
とりあえず…は。
聞いてやるぐらいな気持ちでいなきゃ。
何も言わず帰ろうとした時。
そらの手が後ろから俺の腰に回った。
俺には…あなたさんがいる。
残り2日だから。
それまでは…あなたさんの彼氏として
最後まで楽しませたいんだ。
限られた時間。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!