第22話

限られた時間
2,016
2018/12/04 06:50
あなたさんを送ってから妙に気になる。
LINEの通知が止まらない。
玲於
あ ~ 、もうなんだよ。
見ると そら。
さっきから鳴り止むことなく響く通知。
内容は

" 玲於。助けて。"


" お願い… "


" 死んじゃう… "

なんだよ。


死ぬって。


そうやって言って俺を呼ぼうってか?


「嘘言うなよ。」


そんな軽い言葉で済ませてしまった。


「嘘じゃない!本当!このままだと私死ぬ!」


俺ばっかに甘えるなよ…
俺は電源を切ろうとした時。


ピロン


玲於
あ、あなたさん。
あなたさんからLINEが来た。


いつもなら嬉しいはずのLINEだが喜べる


気力も無くなっていた。


「ごめん」


あなた「別に、大丈夫。」


「何かあった?」


あなた「明日の予定聞こうと思って。」


あぁ…


明日、土曜日じゃん。


もう、2日…


さっきまで話していた会話がもう1週間経った気がする。
はぁ、会いた。


あなたさん…
さっきまで握っていたあなたさんの手の温かさが


今になって蘇ってくる。
暖かくて小さくてぷにぷにしている。


触ってて飽きない。
そんな中、鳴り響く通知。


うるさくて電源を落とした。
玲於
はぁ…
あなたさんの家から近くの公園。


ブランコ、滑り台、鉄棒とほかの公園と変わらない


素朴な公園。
ここは、なんだか落ち着く。


一人になって悩んでることがぱっと忘れることが出来る。


脳が綺麗に変わっていくみたい。
すると。
小森隼
え、玲於?
俺の昔っから聞き慣れた声。
玲於
隼?
小森隼
何してんの?
玲於
いや、こっちのセリフ。
小森隼
まぁ、な笑
玲於
何してんの?
小森隼
ちょっと散歩 ~ 。
玲於
まさか、あなたさんの家特定したとか…
小森隼
そんなことしねぇわ!
怖い。


あなたさんが隼に取られるとか考えただけで


寒気止まらねぇ。
でも…


俺は所詮、1週間。


1週間だけ俺のあなたさんなんだ。


もう、終わる。


あなたさんは、俺の事を好きにならず終わる。


はぁ、辛。
小森隼
あと、少しじゃん。
玲於
まぁな…
分かってる。


隼が言いたいことぐらい。
小森隼
いいの?
玲於
何が…
小森隼
あなたさん。
本当にもう関わらないの?
自分が決めたこと。


守らなくてどうする。
玲於
決めたことだから。
そっか。


ってそれ以上何も聞いてこなかった。
玲於
あんな本気で好きになった人初めて。
小森隼
確かに、玲於そういうタイプじゃないもん。
玲於
はぁ…やばいなぁ。
今、すっげぇ会いてぇ。
小森隼
変わりすぎてキモイ。
なんとでもいえ!


俺は、ただあなたさんが…
玲於
あと2日楽しむわ。
小森隼
そ ~ しな?
玲於
おう。
俺らはそこで解散。


俺の家に歩いている時。
そら
玲於…!玲於…!
玲於
そら…!?
泣きながら俺に向かって走ってくる。


何があった。
俺に抱き着いて泣き出す。
玲於
どうした?
そら
お父さんがっ…!
お母さんをっ…こう…
殴る仕草をするそら。
玲於
殴られてんの?
そら
そう…お父さんがお酒飲んで
変なスイッチ入っちゃって…!
だから、助けを求めに来たのか…?


なんで俺なんだ。
そら
早く…来てっ!
ボロボロに泣いたそらの顔が俺を動かした。
玲於
早く…行くぞ。
そらの手を取ってそらの家に走った。
.
そらの家に着くと
お母さん
やめてくださいっ…!
お母さんの悲鳴が玄関まで響いている。
お父さん
うるせぇ!!!
お前のせいで…そらまでおかしくなった!
お母さん
わ、私はちゃんと育ててきたつもりです…!
は…?
この親は何言ってんだ?


ちゃんと育ててきた?


嘘つけ。


そら、今泣いてんぞ。
そらに気づいたお母さんが
お母さん
そ、そら!
お父さんもこちらを向く。


俺に気づいた。
お父さん
君は…?
玲於
そらさんの友人です。
お父さん
…友達が余計な口を挟むでない。
帰れ と一言残し、お母さんに襲いかかろうとした。


この親達、馬鹿じゃない。
玲於
あの。
二人の手が止まって俺に視線がささる。
玲於
ちゃんと育ててきたつもりですって
どういうことですか。
お母さん
え?
玲於
なんだそれ、つもりって。
その つもり でどれだけそらが苦しい思いしたか。
玲於
その貴方達がそらを放っておいたせいで
どれだけ苦しい思いしたか考えたこと
あるんですか?
お母さん
私は…考えたわっ。
そら
…うそ…
ボソッと呟いた。
お父さん
お前、何様だ。
他人が僕達の家計にどうこう
言える筋合いはないぞ。
玲於
ですが、一応そらさんとは仲良くさせて
もらってましたので。
そら
お母さん、お父さんやめてっ。
大きな目から涙をボロボロ落とすそらに


目線を外せない親達。


お母さんはそらの顔を撫でて ごめんね って


数え切れないほど謝って


お父さんは 悪かった って反省。
そら
ありがと。玲於。
外まで送ってくれたそら。
玲於
大変だな。
そら
仕方ない…
玲於
なんかあったら…言えよ?
とりあえず…は。


聞いてやるぐらいな気持ちでいなきゃ。
何も言わず帰ろうとした時。
玲於
おい…?
そらの手が後ろから俺の腰に回った。
そら
行かないで…
玲於
は?
そら
やっぱり、玲於が好きなの。
ずっと変わってないよ。
俺には…あなたさんがいる。
玲於
ごめん。
そら
なんで?
あの人?先輩?
玲於
そう
そら
私より先輩がいいの?
玲於
そう
残り2日だから。


それまでは…あなたさんの彼氏として


最後まで楽しませたいんだ。
限られた時間。
玲於
ごめん。

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