無視して俺の手を引っ張り歩く。
強く握られて離せない。
俺も無視されるのはもう勘弁。
怒鳴った。
そしたら、ビクッてして止まる。
急にあんなこと言われて絶対あなたさんも戸惑った。
" 好きじゃないよ "
それは、あなたさんの…本音…?
俺、馬鹿だからさ変に期待した。
もしかして、好きって言ってくれるとか。
もっと…俺の事を思っててくれてるとか思ったわ
けど…案の定…な。
キッパリ、断られたわ。
俺の方を見て見たことの無い目付き。
目はちょっと充血している。
" 玲於達はもう終わったんだよ! "
はっきり、そらに言われた。
終わったと。
そう。
俺らはもう終わってんだ。
けど、俺の中であの1週間はまだ終わってない。
延長。
ずっとあなたさんが心の中にいるから。
真剣に俺に言ってくれてるのが伝わる。
けど、今俺の頭には
" ありがとう "
この5文字しか浮かび上がらなかった。
ずっと好きでいる。
あなたさんが俺の事好きになるまで。
言ったし…
俺の事好きにさせるって。
いや、なってくれたら今の気持ち以上に
愛するし…幸せにしたい。
なんて、思ってるけど…まだまだ先の話かも。
そらは、短い髪の毛をちょっと揺らしながら
戻って行った。
あなたside
今、私達は屋上にいます。
私には亜嵐がいるも ~ ん!!
ってはなが床に寝転んだ。
頭からの目線からでもはなの頬は赤く染ってる。
何気なく、そう呟くとはなが私をじっと見る。
楽しい。
はなといる時が一番楽だ。
話も聞いてくれて私のこともちゃんと分かってる。
時間ももうそろそろいい時間。
私達は手にパンのゴミを持って階段を降りた。
智也くんに告白された。
ちゃんと伝えなきゃ…ね。
大きい目がより大きくなる。
自分で考えな ~ 。ってスキップして教室に
入っていってしまった。
もう、はなからは何も言ってくれないのか。
私が乙女の仲間入り…?しなきゃ
はなが私にいろいろ言ってくれたのかな。
私、恋とかした事なくて…
ずっと分からないまま今に至る。
それで、高校に入ってはなと出会って
たくさん、覚えることも増えた。
けど、一つだけ。
私の頭に残るものがある。
この恋にはいつか最終回があり、それは
誰しもが叶うわけがない。
" 告白 "
相手に気持ちを伝える時。
今まで考えたことの無い考え。
私が…告白…なんてことを考えていたことに
ちょっとビックリ…
昔じゃありえないし。
教室のドアの前で考えていた。
もう…どうしよう。
タイミングは?
どこで言えばいいの?
どんな言葉?
ハテナが着くことばかり浮かぶ。
完璧、自分の世界に入っていたら
急に呼ばれてビックリし、反射的に返事をしてしまった。
はなに聞けないなら
恋愛のスペシャリストに聞くべきかも…
と言って、席に座って智也くんに話す。
いずれは告白という試練がくる。
その時の対処法など。
智也くんは何度も経験があるだろう。
だから、そうやって軽く言えるんだよ。
私にはハードルが高すぎだ。
机に頭を付けてゴロゴロ…
髪の毛なんてどうだっていい…
今はそんなこと考えることも出来なくて…
ただ、玲於だけを考えていた。
初めて言われた。
" かっこいいよ "
言われたことの無い言葉を言われると
ちょっと不思議な気持ちになる。
そういうと、私に一枚の紙とペン。
え、なに。
書けってこと?
いくよ ~ 。
って!
ちょっと、まって…
自分の書いてることを見返すと恥ずかしくなる。
カァァっと背中から熱が出るようだ。
動揺する私の肩を抑えて目を見つめる。
二重の線がくっきりと着いた切れ目の智也くん。
そんな顔で見つめられたらより一層熱くなる。
はぁ…大丈夫かな。
智也くんが離れていくと目に入るメモ紙。
急いで書いた字はいかにも私の心のように急いでいる。
急がないと…
玲於が…とられちゃうな…
初めて、恋に対する危機というものを覚えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。