第39話

恋の危機
2,029
2018/12/22 12:28
玲於
おいっ…そら。
無視して俺の手を引っ張り歩く。


強く握られて離せない。
玲於
そら!
俺も無視されるのはもう勘弁。


怒鳴った。


そしたら、ビクッてして止まる。
玲於
なんであんなこと言ったんだよ。
急にあんなこと言われて絶対あなたさんも戸惑った。


" 好きじゃないよ "


それは、あなたさんの…本音…?


俺、馬鹿だからさ変に期待した。


もしかして、好きって言ってくれるとか。


もっと…俺の事を思っててくれてるとか思ったわ
けど…案の定…な。


キッパリ、断られたわ。
そら
…玲於が可哀想…
玲於
は?
そら
ずっと思ってるんでしょ。どうせ。
諦めるとか言っときながらさ。
俺の方を見て見たことの無い目付き。


目はちょっと充血している。
玲於
諦める。
何度もその言葉で俺は気持ちを
紛らわしてきたんだ。
そら
だから…!
玲於
けど、やっぱ諦めきれないわ。
そら
そうなら、もう無理だよ!?
先輩、可愛いからモテちゃうよ!?
いくらだって先輩の周りに男の人いる。



" 玲於達はもう終わったんだよ! "



はっきり、そらに言われた。


終わったと。


そう。


俺らはもう終わってんだ。


けど、俺の中であの1週間はまだ終わってない。


延長。


ずっとあなたさんが心の中にいるから。
玲於
まぁな。
そら
なら…私にしたら?
玲於
は?
そら
私なら玲於を幸せに出来るから!
苦しい思いなんかにしないし…
私はずっと玲於が好き!
真剣に俺に言ってくれてるのが伝わる。


けど、今俺の頭には



" ありがとう "



この5文字しか浮かび上がらなかった。
玲於
うん…
そら
だから…ね?
玲於
ごめん、それでも無理。
そら
あなたさんの事まだ好きでいるの…?
玲於
あぁ。
ずっと好きでいる。


あなたさんが俺の事好きになるまで。


言ったし…


俺の事好きにさせるって。


いや、なってくれたら今の気持ち以上に


愛するし…幸せにしたい。


なんて、思ってるけど…まだまだ先の話かも。
そら
あっそ…なら…もういい。
そらは、短い髪の毛をちょっと揺らしながら


戻って行った。













玲於
早く、好きになって。あなたさん。
あなたside


はな
あなたもやっとかぁ!
あなた

ちょっと…!声でかい!

今、私達は屋上にいます。
はな
確かに、佐野くんかっこいいもんね。
わかるよ、その気持ち。
あなた

いや、あなた分かっちゃダメだよ。


私には亜嵐がいるも ~ ん!!


ってはなが床に寝転んだ。
はな
亜嵐、大丈夫かな。
あなた

今日お見舞いに行けば?

はな
さすがに、家は…ちょっとね笑
頭からの目線からでもはなの頬は赤く染ってる。
あなた

乙女だね ~ !

はな
うっさいなぁ。
あなた

でも、顔見せてくれるだけで
意外と力になると思うけどね。

何気なく、そう呟くとはなが私をじっと見る。
あなた

な、なに?

はな
なんか、あなたに言われるとムカつく。
あなた

ちょっと、どういうこと笑

はな
別に ~ !
楽しい。


はなといる時が一番楽だ。


話も聞いてくれて私のこともちゃんと分かってる。
はな
よし、じゃあ戻ろっか。
あなた

そうだね。

時間ももうそろそろいい時間。
私達は手にパンのゴミを持って階段を降りた。
あなた

あ…それでさ。

はな
ん?
智也くんに告白された。


ちゃんと伝えなきゃ…ね。
あなた

智也くんが私のこと好きだって言ってくれて。

はな
え!まじ!?
大きい目がより大きくなる。
あなた

そ…う

はな
あなたはどうなの?
あなた

え…どうなのって…断るつもりだよ。

はな
ふ ~ ん。
あなた

何も言わないんだ…

はな
あなたもやっと乙女の仲間入りしたんだから
私のアドバイスなんか要らないでしょ。
あなた

え、いるって!

はな
言わな ~ い!
自分で考えな ~ 。ってスキップして教室に


入っていってしまった。
もう、はなからは何も言ってくれないのか。


私が乙女の仲間入り…?しなきゃ


はなが私にいろいろ言ってくれたのかな。
私、恋とかした事なくて…


ずっと分からないまま今に至る。


それで、高校に入ってはなと出会って


たくさん、覚えることも増えた。
けど、一つだけ。


私の頭に残るものがある。


この恋にはいつか最終回があり、それは


誰しもが叶うわけがない。


" 告白 "


相手に気持ちを伝える時。
あなた

はぁ…

今まで考えたことの無い考え。


私が…告白…なんてことを考えていたことに


ちょっとビックリ…


昔じゃありえないし。
教室のドアの前で考えていた。


もう…どうしよう。


タイミングは?


どこで言えばいいの?


どんな言葉?


ハテナが着くことばかり浮かぶ。
完璧、自分の世界に入っていたら
吉田智也
あなたちゃん!
あなた

あ、はいっ!!

急に呼ばれてビックリし、反射的に返事をしてしまった。
吉田智也
なに、そんな難しそうな顔して…?
あなた

あ…いや、考え事ね笑

吉田智也
考え事なんか俺聞いてあげるよ?
あなた

あ ~ …

はなに聞けないなら


恋愛のスペシャリストに聞くべきかも…
あなた

お願いしていい…?

吉田智也
もちろん。
と言って、席に座って智也くんに話す。


いずれは告白という試練がくる。


その時の対処法など。
吉田智也
んなの、簡単だよ。
ただ、好きって気持ちを伝えればいい。
あなた

そ、それが言えないんだよ ~ !

智也くんは何度も経験があるだろう。


だから、そうやって軽く言えるんだよ。


私にはハードルが高すぎだ。
机に頭を付けてゴロゴロ…


髪の毛なんてどうだっていい…


今はそんなこと考えることも出来なくて…


ただ、玲於だけを考えていた。
吉田智也
でもね ~ 、あなたちゃんが告白とか
考えられないなぁ。
あなた

え、キモイ?

吉田智也
告白にキモイなんてありません。
あなた

…ごめんなさい。

吉田智也
今のあなたちゃんなんか強いね。
あなた

え?なに?ありがと。笑

吉田智也
かっこいいよ。
初めて言われた。



" かっこいいよ "



言われたことの無い言葉を言われると


ちょっと不思議な気持ちになる。
あなた

あ、ありがと…

吉田智也
照れんなくていいから。
早く考えなよ ~ 。
そういうと、私に一枚の紙とペン。


え、なに。


書けってこと?
吉田智也
今から言うこと紙に書いてね?
いくよ ~ 。


って!


ちょっと、まって…
吉田智也
1、自分から話しかける。

2、目が合ったら必ず手を振る。

3、遊びに誘う。(何回も!諦めない!)

4、告白

自分の書いてることを見返すと恥ずかしくなる。


カァァっと背中から熱が出るようだ。
あなた

こ、こんな…む、無理!

吉田智也
大丈夫だよ。
動揺する私の肩を抑えて目を見つめる。
二重の線がくっきりと着いた切れ目の智也くん。


そんな顔で見つめられたらより一層熱くなる。
あなた

…うん。

はぁ…大丈夫かな。


智也くんが離れていくと目に入るメモ紙。


急いで書いた字はいかにも私の心のように急いでいる。
急がないと…


玲於が…とられちゃうな…
初めて、恋に対する危機というものを覚えた。

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