" 玲於の彼女です "
そう言った女の子。
理解ができなかった。
玲於は否定してたけど
私、玲於が私の事好きだって言ってくれて
付き合ったんだよね。
1週間だけど。
なのに、玲於彼女いたの。
しかも、こんなかわいい彼女。
なんで私なの。
あの子に飽きたから?
だから私にちょっかいかけたんだ。
智也くんの言う通りだったかもしれない。
所詮、遊びだったんだよ。
いてもいられなくなってその場を離れた。
玲於を見ると悲しそうな顔してる。
裏切られた私の方が悲しいから…
亜嵐と話していたはなの所に来た。
でも…本当に玲於は遊びで付き合ったりするのかな。
そんな事しない。
玲於だって私は思ってる。
けど…ね。
私側に立ってみるとちょっと不安になる。
玲於のまんまだ。
玲於も気持ちがすぐわかる。
嫌な時は嫌な顔するし。
嬉しい時は子供みたいに喜ぶ。
照れてる時は耳まで真っ赤にして照れるし。
たま ~ に、亜嵐っていい事言うんだもん。
ちょっとムカつくよね笑
私は自分の席に戻った。
もう…
なんか気分悪いよ…
浮気されてるみたいなもんじゃんか。
別に…
好きでもないのに。
今日の放課後は無しにしよう。
きっと、玲於も嫌だと思うし。
こんな状態で遊ぶなんて。
私達、すれ違いしか起こってない。
【今日はなしにしよっか。】
メモ帳にそう書いた。
玲於の出る前に下駄箱に入れよう。
書いた紙をポケットに入れた。
上を見ると玲於と隼くんがいる。
玲於と目が合ってニコニコしてる。
なに…ちょっと意味わかんない。
私の気持ちなんか…知らないくせに…
逸らした。
玲於と目を。
無言で筆箱にシャーペンを閉まった。
なんで…?
なんで私が玲於のことで振り回さなきゃいけないの。
別に…?
好きじゃないから。
玲於なんか。
ただの…恋愛ごっこ。
そうだよ。
付き合わされてんの。
手に力が入るのを確認して目が熱くなる。
拭いても拭いても止まらない涙。
はなが駆け寄ってきてくれる。
もう…
やだ。
確かに。
私が泣く意味はどこを探しても見つからない。
そう思っていたが、後に見つかることになる。
上手く、はなの声が聞き取れず
ずっと抱き締めてくれる。
はな。
だいすき。
もう、私はななしじゃ生きていけない。
.
放課後。
まだ、誰もいない昇降口。
いち早くカバンを片付けて走って来た。
1年生の下駄箱に足を動かす。
重い…
「あなたさん…!!」
私を呼ぶあと声。
玲於が前みたいに息を切らして私に近寄る。
なんとなく足が動いて後退り。
やばい。
めっちゃ泣いてるじゃん。私。
泣くなよっ…
すると、玲於の顔が徐々に赤くなる。
" 好きな子がいて照れて顔真っ赤にするとか "
亜嵐の言った言葉が蘇る。
玲於の手に力が入る。
" 他の男と話してたらムカつくし "
目を充血させて話す。
玲於の真剣な目。
信じても…いいの…?
急に玲於に手を引っ張られて飛び出した。
玲於は何も答えず無心で走る。
ちょっと!
出てきたのは…ここクレープ屋。
何事も気にしてなかった玲於だが
さすがにそれに気づいた時は恥ずかしそうに
頭をかいた。
玲於の足を見てるだけで笑えてくる。
いつの間にか私達は笑っていた。
前みたいに。
近くの座るところに来て座る。
絶対私の隣座ろうとするし。
なんなの。かわいいよ?
ちょっと学んだのかスっと向かいに座った。
私の手にはクレープ。
玲於の手にはアイス。
順番に食べてく。
あ っと口を開けて待っているような玲於。
玲於、じらせるの可愛い。
楽しくなってきた時。
玲於が私の口にキスをした。
一瞬だったが玲於の唇に触れた…
玲於は慣れない事して耳を真っ赤に染めている。
心臓に悪いかも。
今、ドキドキして止まらない。
脈数めっちゃ上がってる。
あなたさんが悪い!ってなった。
食べていた手を止めて差し出す。
そう言ってニヤついた玲於の顔。
ちょっと大人な悪巧み顔。
" キケンナカオリ "
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。