玲於side
こいつ、小森隼。
俺の幼馴染。
高校までついてきやがった…
そして同じクラス。
ついてな。
って思いたいところだけど…隼がいてくれて安心もした。
一目惚れした
あなたさんと付き合うことが出来た。
いや、それは俺の一方的な恋で…
あなたさんは俺の事なんかこれっぽっちも思ってない。
絶対落としてみせる とか言ったけど…
実際、全くその気はなかった。
ゆっくり、ゆっくり距離を縮めていこうかな。
って思ってたぐらい。
けど、いつも隣にいる…カッコイイ先輩が
多分…あなたさんのことが好きっぽかった。
俺、そういう所は勘が鋭い。
俺、めっちゃ臆病。
慎重派。
相手から行動してもらわないと動けないタイプ。
そんな俺が…あんな申し込み…
1週間とか…バカだろ。俺。
そうじゃなきゃあなたさんが可哀想。
1週間の俺には短すぎる期間をわざわざ俺のために
削ってくれてるんだから。
あなたさんにしたら
長くて最悪な1週間なのかもしれないけど…
あ ~ 。
なんかネガティブになってきた…
隼に言われるがまま教科書をだして廊下に出る。
その途端、廊下にいた女子が騒ぎ出すのがウザイ。
わざと俺に聞こえるぐらいの声で言う。
俺も分からない。
気づいたら先輩を目で追っていた。
音楽の時。
音楽室から見える先輩の教室。
廊下側にはあなたさんが授業を受けているのを知った時。
俺は初めて音楽が楽しみで仕方がなくなっていた。
それを楽しみにずっと見ていた。
友達からも 何見てんの? って言われるけど
絶対教えない。
先輩、可愛いから…!
みんなにとられる。
その日、横目でちらっと見た時。
あなたさんが俺を見ていた。
やばい…!
俺の思いが通った!?
今まで絶対そういうの信じてこなかった俺が初めて
テレパシーってものをその時信じた気がした。
だけど、先輩は俺を見ているのか定かではない。
違うものを見てるのかも。
だから、口パクで聞いてそれで答えてくれたなら…!
って考えて口パクで話した。
すると、先輩も答えてくれた。
ほんとに嬉しかった。
もう、今までにないぐらい。
早く、隼に言いたい…!
って感じの経緯であなたさんが好きです。
あとすこし歩けばいつも見ていた先輩の教室。
会える…!
が、後ろには大量の女子。
なんなの。
ウザイ。
隼に注意されムスッとしていた顔を引き上げて笑顔を作った。
あなたさんが窓から覗いているのに気づき
すぐさま駆け寄った。
けど、戻ってしまった!
咄嗟に先輩の名前を呼んで
これでも精一杯…
そう答えるあなたさんはほんとに…かわいい。
あ、笑顔 笑顔…
頭に浮かんだあなたさんに対する思い…
あ…
隼を見ると グッ って親指を立てて合図。
これで良かったんだ。
ふ ~ 。
あなたさんを見ると顔を赤らめて
あ ~ !
なんか暴走してる。
俺の頭の中に暴走族が走ってる。
はい!
って笑顔で答えた。
つもりだけど…
引きつってないかな。
心配。
そろそろ…時間がやばい。
もう離れないと。
あ、俺が一番聞きたかったこと…
前の じゃ! の意味は俺もわかんねぇ。
するとあなたさんはちょっと戸惑ったように
大丈夫 って答えた。
よかった…
朝早く来て隼と入れた甲斐があった。
隼と移動教室に向かうけど…
緊張した…
死ぬかと思った…
あんなこと言ったことないし…
何か話すこと…
話すこと…
思いつかなかった。
もう、、最悪。
俺の得意分野。
UFOキャッチャー。
中学の時、無限に隼と取ってて店の人に怒られたわ。
それぐらい、得意。
隼…
たまにはあてになるじゃん!
まぁ、隼の事だからこうなるとは思ってたけど…
俺が得してでは絶対終われない。
最後まで隼も得しないと…って感じ。
てか、すっげぇ緊張するわ。
手汗とかやばそう。
とりあえず…楽しむ…か。
会えるだけ幸せだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。