それから私は帰宅。
いつもの様に手を洗ってリビングに入ると
はなが椅子に座っているではないか。
泣いてる…?
あ、亜嵐ね。
コクっと頷いたはな。
階段を登って私の部屋に着くと
急に声を上げて泣き出した。
って私のベッドに倒れ込んでしくしく泣いている。
そんな軽い人じゃないもん。
って起き上がって言う。
確かにそうだけど…
はなの目にはまた涙が徐々に溜まり始めた。
はなの背中をトントンしてあげた。
そしたら、ありがとう って笑った。
その上目遣い。
ちくしょ ~ 。
許してしまうのが私の弱さ。
そう言うと安心したのかはなは優しい顔に。
ん ~ 、はなの気持ちが知れたあとで
第1問題は通過したけど…
亜嵐…がね。
・
はなは昨日私の家に泊まって一緒に行く。
お世話になりました って頭を下げるはな。
いつでも来てね。ってお母さん。
いつもと変わらないはなになって一安心。
学校の校門を抜けると
向こうの方に友達と来ている亜嵐を見つけた。
はなも気づいたのか私の背中に身を潜めた。
はなの腕を掴んで亜嵐の元に。
私の存在に気づいた亜嵐は あ!っていつもの顔。
おはよ ~ 、って言おうとしたら
私の後ろからはなが出てきて微妙な顔。
と、はなが大きな声で言った。
頑張れ。
あとすこし。
やらかした って顔して私を見る。
けど、亜嵐はなかなか話さない。
お、順調…?
はなの目が強ばる。
って亜嵐の顔がしゅんとした。
その瞬間、はなと亜嵐の間にあった
ずっと繋がっていた糸がもう一度張り直した。
ピン…
はなの顔はどんどん笑顔になって
そしたら、はなは私の顔の前で
両手を振って口止めをしているのか必死だ。
亜嵐ははなをちゃんと見て言う。
その時、はなの顔は赤く染った。
はい、解決。
やっぱ私って天才なのかもしれない。
人の心を繋ぎ直すことが出来る能力を持ってるわ。
私の両手を掴んで必死になって言う。
ニカッと笑った亜嵐。
くそ。
イケメンかよ。
こらこら、なんでそういう時だけ協力的になるんだ?
ま、そんな二人が大好きだけどね。
二人につれて私も玄関に入った時。
まぁ、いつもの光景なんだけど。
一つだけ気になるの。
隣であの…サノ…?って人が私に挨拶してきた。
私より身長は高くて…
忘れないでくださいよ って下向き加減で
微笑む彼の横顔は高校生には見えなかった。
と、急に真顔になるし。
なんか…微妙だ。
この人の周りにはちょっとしたフィルターが
貼ってあって頑丈だと思う。
なかなか、本性が見えてこない。
急に笑顔になるからもうついてけない…
喜怒哀楽のハッキリしてそうな子。
じゃ。
って玲於の口癖なのか。
会ったら必ず聞く気がする。
何してんだろ。
私。
早く行かなきゃ。
人をかき分けてはなたちのもとに行った。
前を見た時玲於の後ろ姿だった。
真ん前。
人混みに押し潰されそうな状況の中何故か
玲於を見つけてしまった。
くそ…
頭に玲於の顔がちゃんとインプットされちゃった…
何故か 後輩と話してた とは言わなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!