第11話

決意と未来💙
351
2021/02/02 21:49
 半分飲んで、氷が溶けて薄くなったメロンソーダを飲む。あんまり美味しくないけど、さっきまでの気が重くなる未来が少しだけ軽い。かつ君に話しておいたこともある。秀太がわかってくれたこともある。何より、本田くんの感謝の言葉だ。
 本田くんは迷ってるときとにかく悩む。悩んで悩んで道が見えたとき、いつも決まって感謝の言葉が出る。
Honda
Honda
ありがとな
 間違いなく、この言葉はなにかを見つけたんだと思う。きっと本田くんらしい何かの選択肢を見つけたんだと思う。
 秀太は不思議そうな顔してスマホと俺の顔を見比べて、やっぱりよくわかっていないようだ。本田くんきっかけにメッセージのやり取りはありがとう合戦になり、なんの違和感の無いいつもの日常のやり取りに2人で笑いながら、長居しすぎた喫茶店の会計を済ませて外に出た。
浦野秀太
やっぱり俺たちはこうじゃないと
佐野文哉
また毎日毎日飽きるくらい一緒にいる時間過ごしたいよね
浦野秀太
でも、飽きないのよ、不思議なことに
 手に持ったスマホが震え、メッセージを確認するとやっぱりそこには本田くんがいた。
Honda
Honda
なぁ、もしどこかで歴史が変わったらさ。残ったやつもみんな辞退して4人で組まないか?
 辞退をするってことは事務所に入らないことを意味する。それでも、4人でやるためにはその選択もほんとはあった。でも、なんとなく目を背けていた自分がいた。
浦野秀太
こーすけくん、ほんと、吹っ切れたんだね
佐野文哉
だから言ったじゃん
浦野秀太
文哉はよくわかってるね
佐野文哉
最強のシンメですから
浦野秀太
お、言うねぇ
佐野文哉
本田のありがとうは出口の証拠ですよ
浦野秀太
いやいや、意味わかんないし
佐野文哉
で、そろそろ不安がってるよ
浦野秀太
あー、返信してないから?
佐野文哉
そうそう、多分ね
 正直、事務所の必要性を知っている本田くんからこの意見が出るとは思わなかった。

『その発想はなかった』

 でも、みんなはどうなんだろう?
かつ
かつ
たしかに、ほんまやわ
Shuta Urano
Shuta Urano
えぇー、僕が残ったら辞退しなきゃ行けないの?
佐野文哉
秀太は辞退したくないんだ
浦野秀太
まさか、辞退大歓迎
佐野文哉
またそうやって揺さぶる
 秀太は心にもないことを言うときは一人称が僕になることを知ってる。多分みんなわかってる。
『秀太は一人で頑張れば良いよ』
浦野秀太
文哉ー、言い方よ
Shuta Urano
Shuta Urano
いや、冷たい
かつ
かつ
俺は落ちるから変わらんけどな
浦野秀太
俺の方が落とされる気がするけど?
Shuta Urano
Shuta Urano
もしかしたら残るかもしれないよ?
佐野文哉
どっちにしろこんな茶番に付き合う必要なかったんだよね
 本田くんがそういってくれただけで、僕の今までの迷いが全部吹っ飛んだ。ほんとそのくらいスッキリした。
『僕は賛成しようかな?僕らをバラバラにさせる思惑なら壊せばいい』
浦野秀太
おぉ、カッコいいこと言うじゃん
Honda
Honda
事務所には入れないかもしれないけど
浦野秀太
もー、すーぐブレーキかける
かつ
かつ
言い出しっぺが不安になってどうするん?
佐野文哉
なんか、かつ君ノリノリだよね
浦野秀太
うーん、確かに
佐野文哉
なんかかつ君も吹っ切れてるのかも?
 本田くんの心配は自分の選択肢に僕たちを巻き込むこと。でも、きっと本田くんは辞退することを決めちゃってるんだろうな。
『っていうか、実際最後まで残ってたの本田くんなんだから辞退しても良いの?』
浦野秀太
確かにそーだよね。
Shuta Urano
Shuta Urano
たしかにー
佐野文哉
でも、多分本田くん辞退する気だよ
浦野秀太
なんでわかるの?
佐野文哉
そんな気がする
Honda
Honda
俺はすぐにでも辞退して良いよ
浦野秀太
うわ、すごい文哉
佐野文哉
凄くないよ。それより、僕はかつ君の方が気になるけど…
Shuta Urano
Shuta Urano
本当に?
浦野秀太
ん?どういうこと?
佐野文哉
わかんないけど、なんか違和感がある
かつ
かつ
まぁさすがにすぐ辞退はヤバイでしょ
浦野秀太
んー、そんな違和感感じないけど
 なんの違和感かはわからない。ほんと感覚的なもので、なにかかつ君が気になった。
『第一回順位発表式まで頑張ろうか』
Shuta Urano
Shuta Urano
もっと大変な道が待ってるかもしれないよ
浦野秀太
あぁ、文哉。なんか空気読まない感じになったぁ
佐野文哉
ん?大丈夫だよ
浦野秀太
なんか俺落ちる気がしてきたなー
佐野文哉
そんなのわからないよ。僕だって落ちる可能性あるし
Honda
Honda
そうだな、順位発表式まで考えよう。俺に合わせる必要はないし、みんな個人で考えていいと思う
浦野秀太
こういうところが我らがリーダーだよね
佐野文哉
でも、スッキリした
浦野秀太
確かに
佐野文哉
秀太は今度はなにしたい?
浦野秀太
今度は?
佐野文哉
すごくない?もしかしたら今から動いたら、お客さんの前でデビュー出来るかもしれないんだよ。
浦野秀太
あ、そっか。そーだよねー。ふぃふぃふぃ、楽しみになってきた
佐野文哉
なんだよ、それ
 僕たちならどんな状況でも打開できる。その自信だけはあって、これからが楽しみでワクワクしていた。

 その時だった、耳障りな音が耳に響く。耳を押さえうずくまると世界が回っているようだった。

あれ、秀太は?

 世界が歪んで見えて、近くにいるはずの秀太がどこにいるかわからない。

 なんだ、どうなっているんだ?

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