第85話

どっかの誰か
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2020/12/30 22:08
黒尾 side





あれから______





俺は何かと理由を付けて、時々あなたに連絡を取っていた





黒尾「あのさあなた…お前、オープンキャンパスって行く気ある?」


大学のホームページを開き、画面をスクロールさせながら聞いてみる



あなた〈あ、今月予定されてるヤツ?
うん、行くつもり〜。先月は予備校とかママの入院とかでバタバタしちゃって、行けなかったから。

しかも8月後半って、もうこっちは学校始まっちゃってるから…気にはなってたんだけど、行けなかったんだよね〜〉





黒尾「なぁ、それ一緒に行かねぇ?」


あなた〈うん!良いよ!!あっ!じゃあさ、じゃあさ…東京行くついでに、観光したい!

オープンキャンパスは土曜日だから、一泊して次の日渋谷でショッピングとか……
いや…それよりも東京タワーとか、スカイツリーとか行きたい!!〉


1番の目的が観光になりそうなテンションであなたは喋り続ける





黒尾「あのな〜…俺は部活と受験、両立なのね…。そう何日も部活休めねぇの!
それに…そういうのはサームラと行きなさいよ…」





サームラと______
そう言いながら、胸がチクリと痛む





黒尾「まぁ……しょうがねぇから、オープンキャンパスの後で行ける程度の観光なら、付き合ってやっても良いけどな」


あなたと2人で出掛けられるチャンスをわざわざ自分から手放すのも惜しくて、会話の最後に付け足した








本音を言えば、そりゃああなたと少しでも長く一緒にいたいけども……


流石に2日続けて部活を休むのは無理だしな





しかも東京タワーだのスカイツリーだの。どっかの誰かさん達を思い出すんだけど……








____________宮城に住むと鉄塔に憧れるのか?



そんな事を考えながら、俺は目の前のパソコンに"東京""観光""スカイツリー"と打ち込みenterキーを押す



画面に表示された"東京スカイツリー"、他にも"ソラマチ""周辺の観光スポット"を次々とクリックし、関連ページを開いていく

SNSもチェックし、タグっていく








____________、ヤベェ!//……俺、顔がニヤけてる…



画面に写る写真を見ながら、色々想像して口元が緩んでいた


部屋には自分以外誰もいないのに、焦って口元を隠す



あなたと過ごす近い未来を想像して、それを楽しみに感じる自分の気持ちを自覚しながらパソコンの電源を落とした

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