第40話

気休めでも
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2020/12/24 05:07
澤村〈青葉城西とは2-1で何とか勝てたよ………
ただ、向こうは正セッターじゃなかったし
日向、影山コンビがどんなに優秀でも
周りを固めるのが俺たちじゃあ、まだ弱い………

レシーブもサーブもブロックも
まだまだなんだ!!
今の俺達にはまだ色々足りてなくて
今日の試合もギリギリだった………

でも、そろそろ西谷が戻ってくる頃なんだ!
あ〜………あなたにはちゃんと話してなかったよな………
この前の試合で______〉





青葉城西との練習試合の結果を話しながら、大地が話してくれたのは______





______3月の県民大会で
徹底的に東峰くんのスパイクが止められた
その結果、烏野はなす術をなくた

人一倍責任を感じた東峰くんは自信をなくして
トスを呼ぶ事をやめてしまった

その事で、西谷くんと揉めて
西谷くんは1週間の自宅謹慎と約1ヶ月の部活禁止処分となった

東峰くんは「自分が戻ってもまた足を引っ張る」と言って練習に来なくなってしまった
スガくんも「自分が東峰くんに頼り過ぎた」と責任を感じている______





という内容だった





澤村〈西谷が戻って、旭も戻って来てくれれば
きっと前みたいに……
いや、前よりももっと______

ずっと話さないままで悪かった………

隠そうと思った訳じゃないんだけど、いつもの帰り道の雰囲気じゃなくなってたし
皆の想いがちょっと複雑に絡んじゃってたから………
あなたに変な気を使わせたくないとも思って………スマン〉





話しながら、最後は弱々しく「スマン…」と私に謝る大地



私には謝らなくてもいいのに…





あなた「ううん。私の事は気にしなくていいよ
大地とスガくんが元気ないのは何となく感じてたよ……
大地と東峰くんが喋らなくなったのも気付いてた……」





澤村〈そっか……〉





あなた「早くみんなが元に戻ると良いね」





ありきたりな言葉で気休めにしかならないと分かっている



でも、電話の向こうで口を閉ざしてしまった大地に私はそんな言葉しか言えず…





どうすれば元気を出してもらえるのかもわからない自分に嫌気がさして、電話を切ってから唇を噛み締めた

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