黒尾 side
10月______
東京も夜は大分冷え込むようになってきた
もう何回目だ?梟谷グループと烏野の合同合宿も、もう四回目……か?
?「ヘッブシッ!東京でも夜は寒いな______っ、」
後片付けをしていると勢いよくクシャミをする音が聞こえて、視線を向ける
ったく……チビちゃんTシャツのままじゃねぇか。汗で冷える前に上着ねぇと、風邪h______
研磨「翔陽、汗冷える前に上着ないから…」
黒尾「…………………」
チビちゃんと一緒にボールの片付けをする研磨が、俺より一足先に話しかける
…と、俺の視線に気付いて今度はこっちに向かって近付いてくる
研磨「……ボールは全部片付いたから。それ、手伝う。……ってか、さっきから何見てんのさ、クロ」
ネットの片付けをしている俺に手を貸してくる
黒尾「……別に。大分チビちゃんと仲良しになったじゃねぇか」
研磨「翔陽は面白いから____________。翔陽達とはやってみたい。負けたら、即ゲームオーバーの試合」
へぇ〜…。研磨も珍しくやる気になってんねぇ
俺達音駒と、澤村達烏野
それぞれ春高一次予選に勝ち残る事ができた
この合宿が終わったら______
10月には宮城県代表決定戦、11月には東京都代表決定戦が行われる
黒尾「____________ゴミ捨て場の決戦」
澤村「俺達にはラストチャンスだ」
黒尾「東京体育館で会うぞ」
澤村「______おう」
澤村と気合を入れ直す
気合が入るのと同時に緊張したのが、お互いの顔付きで分かる____________。
木兎達梟谷も東京都代表決定戦進出が決まってるけども____________
こっちは良く分かんねぇやる気だな…
木兎「ツッキー!ぜってーウシワカに勝って来いよ!
俺は今、ツッキーに圧勝中だから、ツッキーがウシワカ倒したら、俺がウシワカに圧々勝じゃん!!」
月島、赤葦「スミマセン。ちょっと意味が…」
確かに、意味が良く分からん……
毎度毎度、赤葦も大変だな
・
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あなたはオープンキャンパスの後、おばさんに頼み込んで早速スマホデビューをしたらしい
昔からおばさんは、あなたに甘いんだよな……
俺に自慢をしたいらしく、毎日画像や動画が送られてくる
ま、何だかんだ可愛いですけどねぇ…
この前の私服姿も良いけども…制服も似合ってるし……//
っつーか、まぁ実は楽しみだったりする……
部活終わりに新しい画像が届いてたら、それだけで気力も体力も復活出来る!!だろ、そりゃあ
たまにあなたと一緒にサームラが写ってんのが俺的には癪に障るけども……
まぁ…これは仕方ねぇよな…
画像を見ていると、研磨の言葉が思い出される
____________「あなたが笑っていられれば、それで良い」
確かに研磨の言う通りなのかもな……
画像の中のあなたはいつも楽しそうに、幸せそうに笑っている______
あなたが誰と何処にいたとしても、笑って過ごしていられるならそれで良い
そう思う気持ちと
その笑顔の隣にいるのが俺だったら…その笑顔に俺への気持ちが込められていたならば…
そう思わずにいられない想いが、毎日毎日行ったり来たりで…
だからってあなたの事を諦める。なんて事は毛頭無理な話………
そんな簡単に諦められっかよ____________
しつこいと言われようが、女々しいと言われようが
好きなものは好きなんだから、しょうがねぇだろ………
今まで好きになった娘や、付き合った娘がどこかあなたに似た雰囲気や仕草を持ち合わせていた事は自覚していた
そういう娘が、俺の"好みのタイプ"そう思っていた……
____________でも違ったんだ…
あの日____________
あなたと数年ぶりに再開したあの日……
俺はずっとあなたの面影を追いかけていた自分に気が付いた……
そして____________
アメリカに行ってしまったあなたを思い出しながら、あなたの事が好きだと気付いた子供の頃のあの日からずっと
今でもあなたの事が好きだって気付いたんだ____________
まぁ、はっきり自覚したのは夏合宿の日だけどな…
____________、俺は…いつもいつも
気付くのが遅えんだよな………
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!