宮城県IH予選
______3日目
昨日、烏野は三回戦だった
過去の練習試合では勝った事もある青葉城西が相手
青葉城西とは3セット目30点を超える接戦だった
結果は____________
烏野高校男子バレーボール部
三回戦敗退
大地の高校最後の夏が終わった
試合が終わってバレー部の皆は烏養さんに連れられて、ご飯を食べに行ったらしい
大地が帰宅した時間を見計らって電話をしようと思ったけど……
結局、何て言葉をかけたら良いのかわからなくて。電話も…メールさえも出来なかった
・
・
あなた「あ、奈緒。おはよ〜」
奈緒「おはよ。昨日は澤村くん達、惜しかったね……」
あなた「ん〜…そうだね……」
正面玄関で奈緒と一緒になった。靴を履き替え、教室まで歩きながら話は続く
奈緒「澤村くんと何か話した?」
あなた「何て言ったらいいのか分かんなくて……電話できなかった」
奈緒「………そっか…」
あなた「「頑張ったね」とか「いい試合だったね」とか言おうと思ったんだけど……結局、どんな言葉を言っても慰めにも励ましにもならない気がして……」
奈緒「それって……澤村くんが本気で頑張ってきた事をあなたが知ってるからだよね
"本気"が分かるからこそ、そういう時って何も言えないよね……」
あなた「……そうだね。
奈緒たちは来週だよね。試合、頑張ってね!」
歩きながら4組の教室の前を通る時、大地の様子が気になって教室の中を覗いてみた
まだ大地の姿はない……
その後も休み時間になるたびに、隣の教室をチラチラ覗いてみる
____________あ、……
大地とスガくんと東峰くんが話し込んでいる姿が見えた
____________何を……話しているんだろう…
・
・
放課後、掃除をしていると大地からメールが届いた
澤村『武田先生から呼ばれたから、今日は先に帰ってくれ。スマン』
あなた『分かった』
一言だけの返信をして、掃除を終えると教室へ戻り帰り支度をした
・
・
『〜♪〜〜♫』
______あ、大地……
夕食を終え部屋で勉強をしていると、一人だけ違う設定音にしてある着信音が鳴る
一瞬躊躇ってしまったけれど、電話に出る
あなた「______もしもし……」
何か言わなきゃと思うけど、言葉に詰まる……
あなた「あ……きのu______
澤村〈……あのさ。俺達、今度東京行くんだ!!〉
あなた「(____________ん?!なんの話?)」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。