第117話

1月4日 
822
2021/02/09 20:24
1月4日____________





ピピッ、ピピッ、ピピッ、………





あなた「…っ、ん〜、__________________、あっ!!」





いつものアラーム音が鳴り、スヌーズしかけてハッとして飛び起きた








大地達バレー部は、今日は東京へ行くんだ!!!


そして、私と奈緒も!





1月に入り私達3年生は"受験対策"という名目で週一回の登校日以外は自由登校となる

そこで奈緒と私は、烏野高校男子バレー部の応援のために東京へ行く事にしたのだ








「1月4日って、受験直前じゃない!!」って流石に能天気なママも、最初は反対したけど……


この前の模試の結果が良かったし、最後には「ま、そういうのも大事よね……」って了承してくれた








奈緒はすでに推薦で県内の大学に合格しているから、すっかり卒業旅行の気分で東京行きにはノリノリだ











あなた「……っ寒、」





______ピッ、



ベッドから抜け出してエアコンのスイッチを入れる。早速大地にメールを送った











あなた「じゃあ、行ってきます!」


母「気を付けて行ってらっしゃい。おじいちゃまと、おばあちゃまにヨロシクね」



玄関先で見送ってくれるママに手を振り、スーツケースをしっかりと握りしめて空を見上げる





ヨシッ……



誰に言うともなく一言呟いて背筋を伸ばし、駅に向かって歩き出す











仙台駅______________






奈緒「あなたは昔、東京に住んでたんだよね?私、東京初めて〜!ドキドキする。新幹線も初めて!!あ、向こうで泊まらせてもらうあなたのおじいちゃん家って東京のどこ?おじいちゃんって、どんな人?」


あなた「奈緒……、落ち着いて」





奈緒とは最寄駅で待ち合わせをして、今は仙台駅で新幹線を待っている

東京行きにテンションが高くなっている奈緒が、ホームの電光掲示板を見上げながら立て続けに喋っている





奈緒「………………。」


突然黙ったかと思えばスマホを出して、しきりに何かを調べている





あなた「……奈緒、どうしたの?」


奈緒「東京駅に着いてからの乗り換えとか分かる?大丈夫かな…」


あなた「大丈夫だよ、私が分かるから。あ、ほら新幹線来たよ!」











奈緒「ス______……、ス______……、」


さっきまで興奮し過ぎたんだろう。新幹線に乗り暫く外の景色を眺めていたかと思ったら、いつの間にか奈緒は眠ってしまっている



車窓からの景色を眺めながら座席に深く座り直し、私も目蓋を閉じた











「東京____________、東京____________、」


あと数分で東京駅に到着する事を告げるアナウンスが車内に流れる



あなた「奈緒、起きて。東京駅着くよ」


奈緒「……っん?ん〜ぅん、…」


大きく伸びをしながら、欠伸も一つ。周りをキョロキョロ見回して「東京!!」と奈緒が目を見開く





車窓から見える景色はすっかり変わり、高いビルが立ち並ぶ

街の色は緑は無くなり、ほぼグレー一色だ








奈緒「着いた!東京!!」


東京駅に着き、人の流れに押し出されるようにピョンと勢いよく奈緒がホームへ降り立つ。その後ろに続いて私もホームへ降りる





あなた「次は乗り換えのホームに移動するからね」


隣で目をキラキラさせながら、周囲をキョロキョロと見渡す奈緒に声をかける



お互い携帯は持っているが、奈緒とはぐれないように注意しながら人混みの流れに乗って歩き始めた











あなた「電車はここで降りるよ。あと数分歩いたら着くからね。大丈夫?おじいちゃまの家に着いたら、休めるからね」




東京駅で乗り換えて、JR線、メトロを乗り継いでおじいちゃまの家の最寄駅まで辿り着いた

奈緒は、駅構内と電車内の人の多さに酔ったらしく顔つきがゲンナリしている。仙台駅での姿が嘘のように今は全くと言っていい程、喋らない
いや、喋れないのか……
















奈緒 side





舐めていた。完全に舐めていた


東京とはこんなに人が多く、凄いのか


見渡す限り人、人、人……
いや、知ってたよ。知ってはいた。でも、実際に人混みに塗れると、常に気を使っていないと前からも後ろからも人がぶつかってくる

その緊張感に、だんだんと気分が悪くなってきた……





若干人酔いしながら、必死であなたにくっ付いて歩く。あなたは、そんな私を気にしてくれるが、それでも宮城にいる時よりも歩くペースが速い
 


このペースが都会人なのか……と感心してしまう








あなた「電車はここで降りるよ。あと数分歩いたら着くからね。大丈夫?おじいちゃまの家に着いたら、休めるからね」





あなたに付いて歩くのに必死で……気付いたら、どうやらここで電車を降りるらしい
ちょっと疲れた。もう会話をしている余裕もない











……はて?ここは何処だろう?





さっきまでの人混みが嘘のようだ。いつの間にかドラマに出てくるような、まさに閑静な住宅街を歩いている

通り過ぎる家はどの家も大きくて、門構えがお洒落





途中の電柱に貼り付けられている住所表示をチラッと確認する





__________________えっ!?ちょっと待って!!

この住所って……宮城生まれ、宮城育ちの私でも知っている高級住宅地!!!





奈緒「ちょっと、あなた……ねぇ、……」


背後からの私の声が聞こえていないのか、あなたはそのままスタスタと歩き続ける





あなた「奈緒、お疲れ様。着いたよ」





ピンポーーーン、ピンポーーーン



ようやくある家の前であなたが立ち止まり、インターホンを押す。数秒待つと「はーい。今、開けるわね〜」と優しそうな女の人の声が聞こえて、それとほぼ同時に門が自動で開いた







えっ……何?ちょっと…門が自動で開くとか凄くない?!



ってかこの家、他の家より大きいんだけど!!!



 
 

 
____________あなたって……あなたのおじいちゃんって……一体ナニモノ?!?!?

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