第47話

ハグ
1,958
2020/12/29 08:28
____________もう二度と会えない








アメリカでの生活が始まった時、そう思った幼馴染に数年ぶりにこんな風に奇跡的に会えて______



気付いたら研磨に抱き付いていた



そして____________、もう一人…





まさか、こんな所で会えるなんて……










クロの掛け声に音駒高校の皆が球技場の中へと入って行くのをぼんやりと眺める










澤村「ちょっといいか………?!」


怒りの感情を携えた大地に腕を掴まれた





____________あ、えっ?……大地?



そのまま手を引かれ、皆と離れて球技場内の階段下に連れて行かれた








澤村「____________さっきの。あれはどういう事だ?説明してもらおうか?」



お腹の底から吐き出すような低い声。大地の私を見つめる目が…据わってる





……怒ってる、よね


あなた「あ、え〜っと、実は____________、」





私が抱き付いた相手、プリン頭の研磨。それからもう一人、トサカ頭の黒尾



二人は私が東京に住んでいた頃の幼馴染だという事を大地に説明した



大地は黙って私の話を聞いている





あなた「まさか、こんな所で会えるなんて思ってなかったから…
ビックリしたのと懐かしくて、つい……
え〜っと……ゴメンなさい!」

 
大地の目を見て「ゴメンなさい」と言った後、頭を下げる








暫く無言だった大地が、大きなため息をつきながら口を開いた

表情は、いつもの大地…



澤村「う〜ん……あなたの中では小学生の頃の幼馴染のままの感覚だったって事なんだよな?
俺には"幼馴染"ってのがいないから、よく分かんないけど……

まぁ、"もう会えない"と思ってたスガや旭と
数年ぶりに奇跡的な再会をしたら
抱き合っちゃう……かなぁ〜?

でも、もうハグは禁止!向こうは一応…男だしな……」


あなた「はい……スミマセンデシタ」 



取り敢えず大地が理解してくれた事にホッと胸を撫で下ろす











奈緒「もう!あなた、ビックリしたよ!!
澤村くんが寛大に受け止めてくれたから良かったけど、いくら幼馴染だからって抱き付くのは……

あ、でもアメリカって挨拶でハグするんだっけ……?」



大地と話した後、奈緒にも同じ説明をした








私達はスタンド席に上がって試合を応援する





コートを見下ろせば、大地とクロが握手を交わして挨拶をしている





______へぇ〜…クロ、主将なんだ……








ふと周りを見回せば、ちらほら試合を観に来ている人がいる





バレー部のOB……なのかな?


スタンド席には嶋田マートのお兄さんと滝ノ上電器店のお兄さんもいる





そういえば「昔は近所の人も〈ゴミ捨て場の決戦〉を観に来ていた」と大地が言っていたのを思い出す










「ピーーーーーッ!」



研磨のサーブで試合が始まった______

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