第24話

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2018/07/26 14:19
遊 零 ユウレイ
最近、1週間前だ。母さんが家に来た。
葉山 花火 ハヤマハナビ
お母さん?あの何も言わず家を追い出したお母さん?
嫌な予感しかしなかった。
遊 零 ユウレイ
追い出されてはないよ。俺が自分から出てった。だから来たときはほんとにびっくりした。
そうして零は顔を伏せる。
遊 零 ユウレイ
それで言ったんだよ。やっぱり私は息子と一緒に住みたい、戻ってきてって。でも多分貯金が底をついたんだろうな。俺を働きに行かせるつもりだったんだ。
葉山 花火 ハヤマハナビ
なにそれ、酷くない?そのお母さん!
遊 零 ユウレイ
あぁ、だからこれには俺も応じられないと思って説得しようとした。そしたら婆ちゃんが母さんの頬を引っぱたいて言ったんだ。この子はあんたの子じゃない!私の子だ!この子にはこの子の道があるんだよ!ってな。
葉山 花火 ハヤマハナビ
素敵なお婆ちゃんだね。
遊 零 ユウレイ
うん。
ふっと笑ったその顔は10年前の夏祭りを思い起こした。
遊 零 ユウレイ
でもだめだった。
葉山 花火 ハヤマハナビ
だめだったって何が?
遊 零 ユウレイ
母さんは暴れだした。多分これが抑えきれなくて父さんを刺したんだろうなとも思った。婆ちゃんを突き飛ばして、次は俺を突き飛ばした。気づいたときには母さんが目の前にいて…
葉山 花火 ハヤマハナビ
もう言わなくていい。わかったから。
遊 零 ユウレイ
ごめん…そのあとはなんでか俺は雲の上にいてさ、
急なファンタジー感に驚く。でも目の前で起きていること自体もうファンタジーであることに今更ながら気づいた。
遊 零 ユウレイ
目の前には母さんじゃなくて優しそうな顔をしたお爺ちゃんみたいな人がいた。人目で偉い人だろうなってことは分かった。
葉山 花火 ハヤマハナビ
神様…とか?
遊 零 ユウレイ
今でも分からない。でも多分そうだったんじゃないかな。その人は俺にお前はまだやり残していることがあるからきちんと成仏出来ないって言われた。
葉山 花火 ハヤマハナビ
ふふっ…なにそれ。
つい笑ってしまう。零もつられて笑っていた。
遊 零 ユウレイ
ははっ、だな。だから俺はその神様?にじゃあ戻してくれるのかと聞いた。
葉山 花火 ハヤマハナビ
それで?
遊 零 ユウレイ
そしたら、戻してやるが幽霊としてだと言った。しかも人間のときの記憶は消すと。
葉山 花火 ハヤマハナビ
だから何も分からなかったんだ。
妙に納得する。
遊 零 ユウレイ
でもやり残したことについてのヒントは残してやると言われた。
葉山 花火 ハヤマハナビ
それが通っていた学校の名前と、この神社だったってことか。
遊 零 ユウレイ
そう、あとは話した通り。俺のやり残したことはお前に…花火にヨーヨーを釣ってあげることだった。
やっと繋がった。やっと会えた。
葉山 花火 ハヤマハナビ
でも思い出せなかったらどうなってたの?
遊 零 ユウレイ
何も思い出すことなく地縛霊としてここに残れって言われた。
葉山 花火 ハヤマハナビ
じゃあよかった…ふふっ。
遊 零 ユウレイ
笑うんじゃねーよ。
葉山 花火 ハヤマハナビ
ごめん、ごめん、じゃあやり残したことをやりに行こう!
遊 零 ユウレイ
え、ヨーヨーやるのかよ。
葉山 花火 ハヤマハナビ
あったりまえでしょ!成仏出来ないよ!
私は今日何十回目かのヨーヨー釣りに向かった。

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