※現パロ
※生理ネタあります注意
「ごめんね、今日の予定潰しちゃって…」
調子はどう?、と言って一人暮らしの私の部屋に勝手知ったる顔で入ってくる彼、善逸くんにベッドの上で寝転がりながら謝る。
『生理痛が酷いからデートに行けない、ごめん』とメッセージアプリで送信すれば、速攻『大丈夫?今からそっち行くから』と言い来てくれた。
3月上旬の日曜日、学校が休みの今日は本来なら善逸くんと海が近い水族館へデートをしに行く予定だったのに、
「謝んないでよあなたちゃん。しょうがないじゃん、俺は全然気にしてないし、水族館ならいつでも行けるでしょ。」
俺はあなたちゃんと一緒に居られればどこだっていいんだ。
にこ、と優しく微笑み、「何かお腹に入れられそう?」と聞きながらエプロンをかける善逸くんは本当に優しい彼氏だな、と改めて思わされる。何から何まで申し訳ない。
無言で頷けば、「ちょっと待っててね」と言ってキッチンに行ってしまう。
さっきまで1人だったのに、空間が善逸くんの温もりを残している所為で一気に寂しくなる。
*
腹部の鉛のような気持ち悪さを抱えながらキッチンに行けば、調理器具を用意する善逸くんがいた。
____なんだか新婚さんみたいだなぁ。
心臓より少し右側の胸をきゅんと高鳴らせていると、善逸くんがこちらに気付いて困った顔をした。
「ちょっとあなたちゃん!安静にしてなって」
「やだ。善逸くんが料理している所みたい。」
すすす、と善逸くんに近づいてぴったりとくっ付くと、少し顔を赤らめる善逸くん。
「そんな近付くと危ないから少しだけ離れてて」
*
「そういえあなたちゃんさ、さっき俺の事見てて何て思ったの?」
「え?」
慣れた手つきで卵を割り溶きながら善逸くんがそう聞いてきた。多分、私の音を聴いていたんだろう。
目線は手元を見ている。
「…新婚さんみたいだなって、思った。」
ぽそ、とすごく小さな声で言うと顔を真っ赤に染める善逸くん。
「っ本当さ…。」
こちらを見たかと思えばまた手元に視線を戻す。
「もうあなたちゃんいると集中できないから寝てて」
突っぱねるようにそう言われるが、まだ熱が冷めきってない赤い顔をして言われると、なんだか可愛くてそうしてあげたくなってしまうな。
私は大人しくベッドに戻る。
先程まで鬱陶しかった腹部の気持ち悪さは、いつの間にか無くなっていた。
*
続きます。
作者がなうで生理痛と戦ってるんでちょっと書いちゃいました
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。