※現パロ
※夢主が他の人を好いている描写あり
※年上我妻、喫茶店店員我妻がいます。
※恋愛要素少なめ。
どちらかというと我妻に励まされたい人向け
*
「着いたよ、入って。」
チリン、という音と共に扉が開く。
中に入れば、甘い匂いと珈琲の匂いが鼻腔をくすぐった。
「そこに座って待ってて。」
案内されたカウンター席に座ると、男の人は持っていた買い物袋を整理し始めた。
「…あの、」
「んー?あぁ!!俺まだ何も名乗ってなかったね?!ごめんねだから不安そうな音させてたんだ!?俺は我妻善逸。ここのカフェ店員やってるんだ。」
今はもう閉店してんだけどね。そういって再度買った物の補充を行っていく。
「え、と。すみません…閉店しているのに」
そう言うと我妻さんはいいよいいよ気にしないでー!俺がここに来させたんだし!と笑いながら言う。暖かい人だなあ。
「ちょっと待っててね〜」
そう言うとどこからかエプロンを取り出し、慣れた手つきでそれ自分にを掛ける。
「それで、何かあったの?」
あ、嫌なら話さなくてもいいけど!と言ってキッチンに目をやる。
「…失恋、したんです。」
我妻さんに全て話す。重いって言われたこと。毎回そうやって失恋していくこと。彼が大好きだった事。
話している内にまたポロポロと涙が出てくる。
「私って恋愛向いてないのかな。…ごめんなさい、初対面なのに。」
涙を拭って我妻さんを見ると、少し不機嫌そうな顔をしていた。
「んーん、いいんだよ。喫茶店は珈琲飲みながら話を楽しむ場なんだから。それよりさぁ!何その男!!酷すぎじゃない?!失礼だよこんな可愛い女の子に向かって!こんな!可愛い女の子が自分に尽くしてくれているありがたみを知らないよね絶対!!」
私より感情的になっている我妻さんに呆気に取られる。
「大体こんな可愛くて良い子と付き合えるって事が幸せなのにさ!…それに君が重いって言うんだったら俺なんかもっと凄いから。俺好きな女の子に毎日毎日毎日結婚申し込んでるし愛の言葉を投げかけてるからね。全然相手にされないけど。」
にこ、と安心させるような笑みを向ける。
最初に会った時は大人びて見えたのに、凄く可愛らしい顔をしているんだな、と気付く。
「そんなありがたみも分からない男と君はきっと最初から釣り合わなかったんだ。君にはもっといい人が見つかるよ、きっと。…とは言っても失恋の痛みってなかなか消えないもんねぇ、大好きだったなら尚更。はい、これ。」
コト、と出されたのはホットココア。
甘い匂いが脳を蕩けさせる。
「苦い気持ちには甘いココア!これで少しでも君の傷が癒えるといいんだけど。…ちょっとありきたりすぎた?」
照れくさそうに頬をかく我妻さん。
「いただきます…」
ココアが入った白いマグカップを口元に運ぶと、ぶわ、とココアの甘さが口いっぱいに広がる。これは…おいしい。
「すごく美味しいです…ッ」
また泣き始めてしまう。
ココアの温かさと甘さが身体に染み渡る。
まるで我妻さんに全身から励まされているような気持ちになった。
泣きながらココアを飲む私を、我妻さんは微笑ましそうに見ていた。
*
「ありがとうございました。お代…」
「あぁいいよいいよ。ご馳走するって言ったでしょ?」
え。
それは悪い。話を聞いてもらった上に奢られるだなんて。
「で、でも…」
そう抗議しようとすると、「じゃあ」と被せてくる我妻さん。
「じゃあさ、今度はお客さんとしてここに来てよ。君とまた話したいからさ」
あと君が良ければ名前教えて?なんて。
「はいっ、行きます、いっぱい通います!私は…」
また私の新たな恋が始まるのは、まだ先の事。
*
*補足
・我妻は夢主の事を以前から知っていました。
我妻に恋心があるかはご想像にお任せします。
・我妻の言う「好きな子」は当然禰豆子ちゃんの事です。
*
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こんにちは、お邪魔します、霜月です。
つい先日ついったはじめました。え、これってアカウント名晒していいの?ダメだったら即消しします。
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ついったでも小説投稿を考えています。まだ何もしてないけど。
主に社会人パロやR指定の物等、ここで載せにくいものの内容置き場みたいなものです。
中学生以上の方は興味があったら覗いて見てください。(※R指定ものは高校卒業した年齢の方のみ閲覧をお願い致します。)
お邪魔しました。
※ 3/10 訂正 夢視点記載忘れ直しました
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。