※現パロ、大学生になります。
*
「や……った…!」
合格、とデカデカと書いてある通知書を握りしめる。
やった、やったよあなたちゃん。
俺、あなたちゃんと同じ大学に通うよ。
学科は違うけれど。
春からも同じ大学だよ。
そう抱きしめながら伝えたかった。
けれど微妙な時間が空いてしまった今、
あなたちゃんを抱きしめるには距離が遠すぎてしまった。
「…あなたちゃん…。」
*
「う、わ…ここが東京か」
大きなドームを見上げる。
ここが入学式場らしい。
あなたちゃんはもういるのかな。
席隣だといいな…なんて考えるが、新入生は1000人越え。どんな確率だよ、と自分で自分に現実を突き出す。
「はい、新入生の方はここに座ってくださいね〜」
そう美人な在校生らしいお姉さんに案内され、指定された席に座ろうとする。
「えっ」
目を疑った。
さっきまでの俺、確率がなんだって?
あなたちゃんが隣の席だぞ。俺1000分の1の確率であなたちゃんの隣引き当てるとかラッキーボーイ過ぎじゃない…?
というか、リクルートスーツ姿のあなたちゃん可愛い…。服装が違うとこうも大人っぽくなるのか。
どうしてもあなたちゃんをガン見してしまう。そのせいか気まずそうにするあなたちゃん。
あぁ入学式早く終われ。
どうしてもあなたちゃんと話したいんだ。
何年も前にやっと掴んだ俺の運命の人。
もう絶対に離したくないんだ。
*
入学式が終わり、ぞろぞろと新入生が帰っていく。
隣を見れば、あなたちゃんが大股で帰ろうとしていた。ちょ、ちょちょっと待ってよ!
手を伸ばした瞬間、あなたちゃんは体制を崩す。あなたちゃんを掴もうとした手は、丁度よく彼女の腕に収まった。
ようやく捕まえた。
口角が上がりそうなのを必死に抑える。
「鈍臭いのは相変わらずなんだね、あなたちゃんは。」
そう喋りかける。
俺とあなたちゃんの2回目の運命の出会いだ。
もう絶対に離れないように、慎重に話さなきゃね。
*
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。